<西東京市議会>市、11議案を提出 第3回定例会始まる

市民会館跡地に建設中の官民複合施設。12月オープンへ向けて工事は順調という=9月2日

 第3回定例会は9月2日開会し、会期を10月2日までの31日間と決めた。

 

 池沢隆史市長が今年度の市一般会計など5件の補正予算案と条例の一部改正案など6件の議案について提案理由を説明。予算関係は予算特別委員会に、他の議案は3件の陳情とともに所管の常任委員会に付託された。

 

 一般会計は42億6千万円を追加し、総額867億6千万円となっている。

 

 市民会館跡地に建設中の官民複合施設「ONE FOR ALL 西東京」のうち市が賃借して運営する「西東京市民文化プラザ」は12月のオープン予定が近づき、公共文化施設の運営業務を専門とする「ケイミックスパブリックビジネス」(東京都千代田区)を指定管理者に指定することが提案されている。

 

 3日から6日まで一般質問が行われる。

一瞬の災難

 8月16日は「非常に強い」台風7号が関東地方に接近していて、東京-名古屋間で東海道新幹線が終日運休するなど大きなニュースになっていた。

 

 東京郊外の武蔵野地方北部は予想暴風圏の外縁部に入っていたが、2カ月前から決まっていた武蔵野赤十字病院武蔵野市)に行かなければならない。出がけは大雨だった。

 

 脳の血管の手術を受けた患者は、体調の変化の有無を担当医に報告し、1週間前に受けたMRIの検査結果を聞くのだ。新たな疾患が見つからなかったことを喜び、帰りのコミュニティーバスに乗った。

 

 武蔵境駅でバスを降りると、雨はやみ、風もおさまっていた。駅前の歩道を八百屋に向かっていたところ、一瞬「ザワ」と街路樹が鳴り、背中に水を浴びた。

 

 生い茂った葉が雨をたくわえ、一気に身震いしたのだ。ずぶぬれというほどではなかったが、街路樹のはずれを歩くべきだったと自分の不明を恥じながら、行き着いた店は休みだった。定休日なのかお盆休みなのか、いずれにしても店側を責める理由はない。

 

 運の悪いことは続くものだと、少々くじけて駅に戻り、西武バスで家路に就いた。

 

 しかし、待てよ。記録にとどめるほどの出来事だったのだろうか。いや、「老後」とは、こんなものかもしれない。

見ごろピタリ 清瀬・ひまわりフェス

炎天下、ほぼ満開のヒマワリをカメラに収める人たち

 清瀬ひまわりフェスティバル(清瀬市清瀬市農ある風景を守る会主催)が8月6日から13日まで、清瀬市下清戸の農地で開かれている。予約なしに入場できる最後の日となる9日は一番のにぎわいを見せた。

 

 ヒマワリは2.4ヘクタールの畑に約10万本が咲き誇る。「都心から最も近い絶景」をうたい、今年は期間中5万人の人出を見込む。

 

 9日は午前中、西武池袋線清瀬駅北口から出る無料シャトルバスに乗りきれないシーンも。市によると、会場の混雑や周辺住民への迷惑を考慮して、フェスティバル期間の全ての日を予約制とした昨年の入場実績とこの先の3連休を勘案し、6~9日は自由入場にしたという。

 

 ヒマワリの開花状況は、「今日も見ごろですが、10日は満開になりそう。雷雨で一部倒伏した区域でも持ち直して開花しました」と関係者はドンピシャの生育ぶりに胸を張った。

 

 ミニヒマワリの鉢植え販売や切り花体験はなかなかの人気で、かき氷に涼を求める人も多かった。

「日本の仏教、『地域のため』考えよう」 櫻井氏講演

 「仏教とウェルビーイング―宗教は私たちの幸せにどう寄与できるか」と題し、北海道大学大学院文学研究院の櫻井義秀教授(63)が8月3日、武蔵野大学武蔵野キャンパス(西東京市新町)で講演した。

 

 武蔵野大学仏教文化研究所主催の連続公開講座「仏教にかける期待―これからの仏教を考える―」(全5回)の一環。櫻井氏は比較宗教社会学などを研究する傍ら、父の死をきっかけに60歳の時、僧侶になったという。

 

 櫻井氏が行った全国調査によると、「現在の自分があるのは先祖のおかげ」と思う人、宗教施設に通う頻度の高い人、「宗教的な心は大切」と思う人ほど幸福感が強い。このことは宗教団体への所属や信仰というよりも、人のつながりを考えたり集まりを持ったりすることの重要さを示しているという。

 

 また、子どものころの幸福感と現在の幸福感は子どもの時の年齢に比例して高くなり、10~11歳の時に楽しかった人が最も幸福感が強かった。宗教はこの時期にかかわりを持つことが大事、と指摘した。

 

 櫻井氏はウェルビーイングには「人生」「地域」「社会」「世界」の4つの領域があるとし、仕事の第一線を退き自分らしく生きる林住期、誰もが集える地域の居場所など、仏教が力を発揮できる例を具体的に挙げたほか、旧統一教会のように「幸せに貢献しない宗教」を正していく宗教活動がなされるべきだと強調した。

東京ゲートブリッジ 下から見た

水上バスの前方に「恐竜橋」。海に貨物船、上空に飛行機も。

デッキの客は橋の真下でカメラを向けた。

 隅田川東京港水上バスを運航する東京水辺ラインが7月27日に限定し、葛西臨海公園(東京都江戸川区)から東京ゲートブリッジを周遊する特別便を出すというので乗船した。

 

 両国から隅田川を上り下りするクルーズには何度か乗ったことがあるが、葛西臨海公園発着の便は初めて。ゲートブリッジは遠目にしか見たことがない。

 

 JR京葉線葛西臨海公園駅の西口に降りると道幅の広い中央園路が海へ向かい、せみ時雨の中を進む。突き当たりを左に進むと駅から約10分で水上バスの発着場に着く。東京都心はこの日も最高気温が35度を超える猛暑日が予想され、日陰のない通路はつらい。

 

 ゲートブリッジ周遊便は3回運航され、私は午後の映画会に間に合うように、10時15分発の第1便を選んだ。料金は大人1400円。乗客は約40人で、小さな子ども連れの父親の姿が目立った。

 

 コースは荒川河口を右に見、若洲橋をくぐって左に見えるゲートブリッジに向かう。荒川は以前、荒川放水路と呼ばれ、人力で掘削されたことなど、船から見える風景をガイドが説明する。

 

 ゲートブリッジが見えたころ、船室からデッキへ移った。海風のおかげで暑さは苦にならない。前方を貨物船が運航しているため、体感でわかるほど減速した。橋の向こうの青空を、羽田空港を飛び立った旅客機が横切っていった。空陸海の輸送基地・東京を実感する。

 

 ゲートブリッジは恐竜が向かい合ったいる見える形状で知られる。船は橋の中央部の真下でUターン。デッキでは「真下に来ると大きいね」とお父さんが子どもに語りかけていた。

 

 往復45分間の船旅は定刻通りに終わった。駅までの帰路は暑さが増していた。

蔵に水に 酒造り200年 福生を歩く

田村酒造場の本蔵の建物を支える柱は200年前のスギの丸太だ

 朝日ガイドウォークの「再訪・福生酒蔵見学と街歩き」が7月5日にあった。前回、キャンセル待ちがあったことから再度募集したといい、11人が参加して約4キロを歩いた。

 

 JR青梅線福生駅西口に集合し、徒歩15分ほどで旧ヤマジュウ田村家住宅に着いた。この田村家は次に訪れる田村酒造場を営む田村家の分家で、明治末期、自宅近くに郵便局を開設したり、大正期に電報電話業務を始めたりして、福生村の発展に尽くした。

 

 1902(明治35)年に建った大型民家で、主屋と2つの蔵が国の登録有形文化財になっている。参加者たちは主翼に上がり、明治期の間取りの中に豪華な造りや近代的な備え付けのたんすなどを見て感心する声を上げていた。

 

 田村酒造場では幹部の男性が田村家の庭や酒造蔵を案内してくれた。敷地内には玉川上水からひいた「田村分水」の水路が通り、市内を巡って多摩川に注ぐ。分水を利用して精米した水車小屋の外に、たくさんの石臼が転がっていた。

 

 田村分水は酒造のためだけでなく、地域の水田や畑の開発のため幕府の許可を得て1867(慶応3)年に出来たという。

 

 酒造蔵は本蔵、中蔵、新蔵が連なり、今年全面補強工事を終えたれんがの大煙突が田村酒造場のシンボルになっている。本蔵は1822(文政5)年に建てられ、皮をむいただけのスギの丸太は200年を過ぎた今も建物を支えている。

 

 田村酒造場を代表する銘柄「嘉泉(かせん)」(よき泉という意味)のもととなった井戸も現役で、湧き出す水は硬水と軟水の中間の硬度だという。

 

 樹齢900~1000年と推定される大ケヤキも印象的だ。東京都内の個人所有では最古という。

 

 福生市内にはもう一つ、「多満(たま)自慢」を代表銘柄とする日本酒蔵元の石川酒造があり、トップ同士は親戚関係。そんな事情もあって「地酒で乾杯を推進する条例」が2013年に都内で初めて制定された。

 

 2つの酒蔵合同の「福生蔵開き」は今年で3回目。蔵を開放し、内部の見学や試飲、地場産品の販売などを通して市民らに楽しんでもらうという。

 

 市内のレストランで昼食をとった後、米空軍横田基地の第2ゲートの前を通り、福生駅東口で解散した。

後期高齢者、三崎へ団体旅行

バス停「城ヶ島」から散策を始めたが、暑さと足場が悪くすぐ引き返した

 西東京市に住む後期高齢者6人の1泊旅行会が7月8日にあった。行き先は神奈川県三浦半島城ヶ島

 

 歴史の勉強やウオーキングを通じて知り合った70代後半3人と80代3人の面々。コロナで中断したが、月に1回の飲み会と年に何回かの旅行を楽しんでいた。今回は久々の国内お泊り旅復活で、そろり近場から。

 

 「命の危険」が叫ばれ、「不要の外出は控えましょう」とニュースや気象情報でしつこく熱中症予防を警告される猛暑続きの日々。ホテルの予約などあらかじめ日程が決まってはいたが、「蛮行」と後ろ指をされかねない行動でもあった。

 

 炎天下、「もう歩けない」と訴える人がいると、城ヶ島周辺の散策を早く切り上げたり、2日目の横須賀は観光船による「軍港めぐり」だけで切り上げたりして、暑さにかかわるトラブルは完全に回避して帰宅を果たした。

 

 しかし、小事件がなかったわけではない。

 

 それは2日目。横須賀に行くため、京急三崎口駅で自動改札機に切符を通した人がゲートを閉められたのだ。切符は前日、京急品川駅の券売機で買った「みさきまぐろきっぷ」。途中下車ができるし、京急バスは乗り放題という往復券で、最初の人にならって全員が買った。

 

 ところが、最も肝心な「通用当日限り」を誰もが見落としていた。厳密に言うと、券面に記載された「7月8日限り有効」を気に留めていなかったようだ。私自身、「8日」とは「あした」だと思い込んでいた。

 

 みさきまぐろきっぷとセットの「三浦・三崎おもひで券」も無駄になった。喫茶店でコーヒーとケーキを楽しむか土産をもらえるかしたのに。初日、三崎港の食堂で同じセットの「まぐろまんぷく券」を使えたのが、せめてもの救いか。

 

 「記念に(券を)持って帰るか」と一人が言った。誰かを責める声はなく、おのおのが粛々とICカード乗車券で入場するのだった。