太宰治の作品を円熟期の俳優らが朗読する「太宰を聴く」が6月16日、三鷹市芸術文化センターで開かれた。
23回目の今年は吹越満さんが『人間失格』を朗読した。「ナマの客の前で朗読するのは初めて」という吹越さんは、舞台上に机やいす、電気スタンドなどを置き、「僕の部屋にしてもらった」。
黒色のTシャツにジーパン姿の吹越さんは何度もボトルの水を飲み、いすを変えながら、自分が「責任編集」した人間失格を読んだ。
朗読が終わって「休憩時間を入れて2時間以内に収まるようにということでしたが、長くなるものですね」と話し、「お疲れさまでした」と聴衆の労をねぎらった。
小道具の黒電話への対応や、いすを移る動作など動きの端々にテレビの刑事ドラマ「特捜9」の青柳さんが重なり、青柳さんが朗読する人を演じているよう。聴くよりも観(み)る楽しさを味あわせてもらった。