柳家さん喬の独演会が6月22日、三鷹市芸術文化センターであった。
独演会とはいえ、四代目桂梅枝の襲名記念公演、これにさん喬門下の前座、弟子の真打ち小志ん、弟弟子で真打ちの柳家花緑と総勢5人が高座を務めた。さん喬は前後半とも出演するから、この日の落語会は休憩を挟んで3時間に及ぶ長丁場となった。
高座は前半、花緑が『二階ぞめき』、さん喬が『そば清』、中入り後はさん喬が『笠碁(かさご)』、トリの梅枝が『雁風呂(がんぶろ)』を演じた。二階ぞめきと雁風呂は初めて聴いた演目。噺(はなし)の内容はほぼ理解できたが、やはり帰宅後に調べた。
目をつぶっているのではないかと思うほど目を細め、脱力感がたまらない語り口のさん喬は75歳。一方、本当は7年前に襲名していたという梅枝は65歳の年齢が信じられないほどダイナミックな動きと声の張りを披露した。
梅枝は何度か「東京の人は上品ですな」と言って大阪人らしいド派手な芸風を見せつけたが、さん喬の静に対し、あえて動を演出したのかもしれない。
終演後、バイクに戻ると、エンジンはかからず、ランプ類も点灯しない。電気系統が原因か。手の施しようがなく、そのまま置いてきた。まさかの悲しい出来事が待っていた。