「まさか…」の不安が的中した、愛用するバイクはウンともスーとも言わなかった。
最高気温22度が予想された11月17日の昼下がり、片足が多少不自由でも愛車を乗りこなせるかを試すことにした。
もう1年以上もバイクにまたがっていない。クローゼットから出した革ジャンが重く感じられる。マンションの屋根付きバイク置き場でカバーをかけておいても車体の汚れは避けられない。エンジンキーと水を絞ったウェスを持った。
ワクワクドキドキして呼吸が苦しく、足がかすかに震える。いつもの興奮。ちょっと度が強い。
バイク置き場に向かう途中、「エンジンがかからないなんてことはないだろうな」との不安がよぎったが、バッテリーを新品に替えて2年もたっていないことが、そんな不安を打ち消した。
カバーをまくり、キーを差し込んで回した。計器類のランプがつかない。ホーンが鳴らない。セルボタンを押してもなんの反応もない。
「あちゃー、バッテリー上がり」。心で叫んだ。カバーをかけなおした。車体をぬぐってやるのは次の機会にした。
かくなるうえは、まず息子にこの事態を報告して充電器を借りよう。完全放電していて充電できないようなら、新たにバッテリーを購入するか、はたまた愛車の売却、運転免許の返上まで考えるか。
自室に戻り、過去の手帳を調べると、最後にバイクを走らせたのは昨年8月だった。