3階の常設展は「たばこの歴史と文化」。植物としてのたばこは南米アンデス地方が原産地とされ、紀元前からあったが、人間がいつから吸うようになったのかはわかっておらず、600年代の遺跡という「たばこを吸う神」の復元レリーフが入り口を飾っていた。
たばこがナス科で、肥えていない土地でも育つため、日本では年貢米の代役として栽培されたという話はうんちくの一つになりそうだ。
特別展は「細密工芸の華 根付と提げ物」が開かれている(7月3日まで)。江戸時代の町人は印籠(いんろう)やたばこ入れなどの提げ物を持ち歩くとき、落とさないようひもや鎖で留め具に結び付けた。その留め具が根付で、今ならキーホルダーのようなものという。
象牙やツゲなどの堅い木を、神技と思える技術で手のひらに収まるほどの大きさの精緻な彫刻作品に仕上げている。江戸期の名作から近代根付の巨匠と呼ばれる森田藻己(そうこ)とその弟子らの作品まで約450点が展示されている。
超絶技巧や豊かな物語性に、「観察力もすごい」「どんな道具を使ったのかしら」などと感想を語り合っていた。(下の写真はエントランスホール、たばこを吸う神のレリーフ)