銘仙館は西武秩父駅から歩いて10分ほど。銘仙は絹の平織物をいうが、秩父銘仙は仮織りした縦糸に型染めをしてから仮織りした横糸をほぐし取りながら本織りしていく「ほぐし捺染(なっせん)」が技法の特徴。角度によって色が変わって見える玉虫効果や生地に裏表がない利点があり、国指定の伝統的工芸品になっている。
工程別の部屋や体験室で解説を聞きながら見て回り、手織りの実演も見せてもらった。1時間で織れるのは10センチ程度という。女性からは「着物は無理でもストールぐらいは作ってみたい」との声も。
伝統の技術だけでなく、建物も有形登録文化財になっていて味わい深い。帝国ホテルの旧本館などを手がけた米国人建築家フランク・ロイド・ライトが考案し、大谷石積みの外観や昭和初期の装飾が落ち着きを感じさせる。展示室に向かうときは「昔の木造校舎を思い出す」。昨年12月に改装された。
銘仙館から国道140号などを通り、約20分歩いて秩父まつり会館へ。山車展示室に入り、秩父夜祭の主役ともいえる華やかな装飾の笠鉾(かさぼこ)と屋台の前に並ぶ。「夜祭の臨場感を味わってもらいます」。照明が消えると、プロジェクションマッピングが始まり、威勢よく屋台をひく様子や花火の大輪などの映像が周囲の壁に映り、迫力ある音が響く。
2階からは笠鉾と屋台を見下ろしたり、屋台芝居の衣装や花火の尺玉模型、写真パネルなど夜祭に関わる資料展示コーナーを見たりした。
まつり会館西隣の秩父神社。神職姿の職員が、江戸時代初期の名工・左甚五郎の作と伝えられる「子宝・子育ての虎」と「つなぎの龍」、日光東照宮の「三猿」とは逆の「お元気三猿」など本殿に巡らされた彫刻群を中心に解説してくれた。(下の写真は左から、秩父夜祭のプロジェクションマッピング、秩父神社本殿)