ミツマタ、カタクリ、花桃と3種の花見が楽しめるというバスツアーに参加した。東京都心で22度を超える日が続いた陽気から一転、この季節らしい肌寒さが戻った3月19日午前7時半、21人の客を乗せた小型バスが東京駅前を出発した。
最初の目的地は栃木県茂木町の焼森山(やけもりさん)ミツマタ群生地。首都高、常磐道、北関東道を経て、道の駅に似た同町の「いい里さかがわ館」で一休みし、弁当を積み込む。ここから1時間のハイキングでミツマタ群生地に向かうグループがいた。
バスは十数分でシャトルバス乗降所でもある駐車場に着く。ここから少し歩き遊歩道入り口のある広場へ。仮設トイレとベンチが備えられており、ミツマタ保全協力金(500円)の受付テントも。
「ミツマタはジンチョウゲの仲間」とは、同乗の人から聞いて知った。木の枝が三つに分かれることが名の由来で、樹皮が和紙の原料になることは知っていて、埼玉県東秩父村の「和紙の里」を訪れたことはあるが、花に時期の群生地は見たことがなかった。
木は高さ1~2メートル。群生地は町有林の中にあり、スラリと伸びた杉木立の斜面と谷を埋めていた。白いつぼみのふくよかさと開いた花の周りの濃い黄色が好ましい。今年は3月上旬の降雪で開花が遅れ、「今日で4分咲き」とミツマタ保全協議会の人が言った。
保全協の人によると、ほとんど種が飛んで自然に増え、杉の間伐による日当たりの良さも手伝って1ヘクタールを超える面積に約7500本が生えているという。
開花の始まった枝を見つけては立ち止まって写真を撮り、約630メートルの遊歩道をゆっくりと歩いた。道幅は狭いが、木くずが敷かれてあり、ほどよいクッションになっている。
「満開は23、24日ごろかな」とは保全協の人の見立てだが、群生地が黄色い花で埋まったらパンフレットでうたう「妖精の森」にふさわしい光景だろうと想像した。