乳がん治療経験のアグネスさん講演

 日本対がん協会主催のセミナー「がんを通じて知る命の尊さ~未来に思いをつなぐ~」が23日、東京・築地の朝日新聞社であり、歌手で日本対がん協会の「ほほえみ大使」を務めるアグネス・チャンさん(63)が自らの乳がん治療の経験を中心に講演した。

 アグネスさんは50歳を過ぎて乳がんと診断された。病院で大泣きしたことや、放射線治療の次のホルモン治療が5年もかかり「一番つらかった」と話した。ホルモン治療の副作用で、「顔が倍にはれて食パンのように四角くなり、目と鼻の輪郭もなくなったのでメークで作った」と明かした。

 手術の方法など患者本人が決断しなければならないことが多く、戸惑った経験から「がんに対する基本的な知識は持っていたほうがよい」とし、早期発見の必要性を強く訴えた。

 術後12年が過ぎ、「多くの人に支えられたこの命を無駄にしたくない。人生の価値はどのくらい感動できるか、どのくらい(感動の)種まきができるかだと思う。私は種まきができる人間になりたい」と結んだ。

 セミナーでは、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会代表理事などを務める鵜尾雅隆(うおまさたか)さんが「遺贈寄付」について講演。シニア世代が「次世代のために」と遺贈寄付するケースが増えてきたと述べた。

セミナーには約100人が参加。講演の後は参加者から出された質問を中心にパネル討論が行われた。