楽しく生きていますか 映画「人生フルーツ」に問われて

 映画「人生フルーツ」が有名な作品とは知らず、5月24日、三鷹市の上映会に行った。

 

 同市の文化団体が企画した今年度の連続上映会の第一弾。パンフレットは「生きがいとともに、人生は続く」「歳(とし)を重ね、それぞれに輝く、映画特集」とうたい、6作品の1場面を上映日程順に配し、あらすじなどを紹介している。

 

 「人生フルーツ」は90歳の建築家と87歳の妻の二人暮らしを追ったドキュメンタリー。2016年製作、91分。

 

 ナレーションの樹木希林の声は懐かしかったが、人に鑑賞を勧めるとか、論評したいとは思わないというのが正直な感想だ。

 

 建築家という職業やヨットという学生時代からの趣味も、愛知県のニュータウン造成地に買った300坪の広い土地も、月額40万円という年金も、平均とか中流という生活レベルではなかろう。

 

 ドキュメンタリーは、これらの特殊性をさりげなく挟み込みながら、季節の果実や野菜の収穫、調理、落ち葉を集めての土づくり、植えた作物などを書いた小看板作り、野鳥の訪れといった楽し気な光景をつないでいる。

 

 自然との共生がどんなに人生を豊かにし、晩年の生活に喜びを与えてくれることか、このご夫婦を見ておわかりでしょう、との意図が見える。共感する部分は少なくないが、しょせんは生活基盤が違う他人の人生。

 

 「好きなことをやらせている」と妻は言い、夫婦はそれぞれ相手の考え方や行動を尊重しているようだが、互いが主張を譲らないシーンはなかったのか、あるいはカットしたのか。

 

 総じて自分には今更見習えそうにないことがあふれていた。観客の多くを占めた年配女性のどれほどが、もっと夫にやさしくなろうと思ってくれただろうか。