地球環境「制御不能 10年以内に」 加藤三郎氏講演

イメージ 1 環境市民団体「MeC(メック)西東京」主催の地球温暖化問題講演会は2月11日、コール田無で行われた。元環境庁初代地球環境部長でNPO法人環境文明21共同代表の加藤三郎氏は、地球環境や社会・経済の加速度的な悪化に対し、「このままでは10年以内に国連さえもが制御できなくなる」と述べ、経済と環境が調和するグリーン経済への転換や徹底した省エネの推進などを訴えた。
 加藤氏は「『時間切れ』にならないために―地球温暖化は人の都合を待ってはくれない」と題して講演。地球温暖化は間違いなく起こっており、それは人間活動が引き起こしている、というのが世界の第一級の科学者の結論であるとの前提だ。
 地球環境の悪化については海水温の上昇、北極海の氷の減退、南極などの氷河の大規模崩壊、北欧の竜巻など気候変動(温暖化)に伴う異常現象が頻発していることを挙げた。これに関連して食料・水資源に危機が訪れ、社会には貧困、不平等、格差が拡大して世界各地で混乱が起きていると憂えた。
 「時間切れ」がいつかということでは、参加者からの質問に先手を打つ形で、「個人的に」と前置きして「10年あるかな」と述べた。
 温暖化と密接に関係するエネルギー問題では、原子力の位置付けに対する考え方は大きく分けて二つあると指摘。一つは石炭、石油、天然ガス、太陽光、風力など他のエネルギー源と同一に扱い、どれを選ぶかは価格によるという経済合理主義的な考え方。もう一つは他のエネルギー源とは本質的に異質であり、受け入れられないというものだ。後者はさらに考え方が分かれるが、加藤氏は「高レベルの放射性廃棄物の安定化には10万年もかかり、だれかが責任を持って安全管理するのは不可能」との見解を支持し、原発を省エネ、再生可能エネルギーに置き換えていき、逐次停止すべきだとの立場を明らかにした。 
 そのうえで脱原発した2030年ごろのエネルギーの構成割合を示した。化石エネルギーは現在の63%から40~50%に減り、再生可能エネルギーは10%から30%に増える。原子力(26%)は省エネ(20~30%)に置き換わる。そしてエネルギー転換を促すため、化石燃料の輸入額の1~2割(2~4兆円)を国内での省エネと再生可能エネルギーの開発・普及・メンテナンスに投入すれば、産業と雇用も潤うと提案した。
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