“発明翁”後藤新太郎さんの100歳祝う 今は「圧搾空気で発電」

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 発明に意欲を燃やし続ける発明王ならぬ「発明翁(おう)」の後藤新太郎さん=西東京市住吉町=が6月15日、元気に満100歳の誕生日を迎えた。この前日、取材などで縁の深い市民活動団体・きらっとシニア倶楽部有志が市内のレストランで昼食会を開き、100歳を祝った。(写真は形だけ乾杯する後藤さん)
 スーツ姿で居住まいを正す後藤さんは、耳が少し遠い以外はほとんど生活に不自由のない体。薬は飲んでいない。一人暮らしなので昼と夜は弁当の配食サービスを受けているが、三食きちんと食べ、夜は8時か9時ごろ床につく。昼、散歩した後1、2時間眠っても、「夜眠りにつけないことはありません」という。
 楽しみの一つは「いい世の中にするのに役立ちたい」という機械の考案。30代のはじめ、戦地でゴムの輪を利用してもみすりの器具を開発し、コメを瓶に入れてつく方法に比べ飛躍的に効率を上げたのは自慢の種だ。いくつかの特許を取っており、近年は水上自転車の試作機の完成にあと一歩のところまできている。
「究極の目的は電気をつくること」と、人がペダルを足踏みすることで高い圧力の空気をボンベにためるアイデアの実用化にも取り組んでいる。てこの原理を応用するのがミソという。「ためた圧搾空気でプロペラを回し、発電するものです。現在の風力発電のように適地を探したり、羽根や柱が強風で壊れたりすることはなく、資源は無尽蔵。使った後、地球に負荷をかけないし、人の健康づくりにも役立ちます」と言葉に熱が帯びる。自治体単位ぐらいに電気を供給できる発電施設の規模が望ましいと先も見ている。
 朝起きると自分で編み出した健康体操をし、新聞は全国紙3紙を読み比べ、学術書を読む。軍隊時代の失敗以来、酒はきっぱりとやめ、負けず嫌いの性格をわきまえて勝負事もいっさいやらない。「機械屋」としての楽しみのほかに何かありますかと問うと、「週に1回来てくれる女性のボランティアさんに愚痴を聞いてもらっていると1時間があっという間に過ぎちゃう。掃除に来てくれるヘルパーさんと世間話をするのも楽しみ」と笑った。
きらっとシニア倶楽部有志は「幸せへの橋渡し」を願い、後藤さんに香川漆器・後藤塗のはしを贈った。