権太楼で初笑い

 柳家権太楼の独演会が3月10日、東京・三鷹市であった。今年の落語会はチケット発売日を失念したり、発売日に用事で出かけなければならなかったりして、ずいぶん遅い初笑いとなった。

 

 チケットの発売日は、厳密にいえば電話かインターネットでの予約なのだが、午前10時の発売開始時はなかなかつながらない。

 

 ラジオの時報よりフライング気味にポチっとして運よくつながっても、次の手順のどこかでやり直しを余儀なくされる事態も増えた気がする。

 

 この日の座席は前から2列目でステージのほぼ真ん中。演者の肉声がビンビン届き、姿が大きく見える。難点もあって、首を上げ続けていなければならない。

 

 1席目は、「きのうやって面白かった」という『質屋庫(しちやぐら)』、2席目は「何にしようか」と『百年目』などの演目を挙げては拍手の多さを聴き、結局は『代書屋』に。周到な準備とスキのない芸を見せるのではなく、いい加減を装って客席に降り立ち、客をその気にさせてしまう、なんとも老獪(ろうかい)な手口、と見た。

 

 落語は本編の噺(はなし)もそうだが、どんなマクラを聴けるのかにもワクワクする。この日は政界に超党派の「落語議連」があり、小泉進次郎が落語好きなことを知った。

 

 また派閥の裏金事件に「怒り」を隠さず、自民党若手議員らの懇親会で女性の過激な演出のショーがあったことについては「昔で言えば『お座敷ストリップ』。ダメに決まっているでしょ」と切って捨てた。満席の客席は大きな笑いで応えた。

 

 権太楼師匠は私より1歳年上なので、個人的には運転免許の話に神経が集中した。18歳で免許を取ったが、運転がへたで「ゴールド(免許)になったことがない」と事故例を語り、免許証は自主返納したと言う。

 

 私は19歳で普通免許を取得したが、最近は四輪車を運転したい気持ちが薄れ、かろうじてバイクを所有している。

 

 師匠はバイクと衝突した事故が返納決断の一因になったようだが、そのバイクを私に置き換えれば、返納をためらう理由は見当たらない。2年後の免許更新期限には返納しよう。