【域外】シニア男子6人組の青森旅日記(1)酸ケ湯温泉 混浴できた

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大学時代の語学の同級生6人が、初秋の青森へ2泊3日の旅をした。団塊世代とそのちょっと上の60代後半のおっさんたちが、2カ月に1度つどう門前仲町(東京・江東区)の焼き鳥屋で、「混浴の温泉に行こう」とだれかが口走ったのがきっかけ。別のだれかが「なら、酸ケ湯だ」と叫ぶと、「せっかくだから奥入瀬も」の声が続き、すんなりと大筋が決まった。JRの「大人の休日倶楽部」に詳しい者が知恵を出し、この種の企画や交渉事の得意な者が行程づくりを引き受けて9月17日、出立の日を迎えた。
 
出がけのトラブルは1人もなく、そろって東京駅午前8時20分発の東北新幹線に乗車。おしゃべり時々居眠りをしているうちに新青森に着き、奥羽本線の特急で青森へ。下車した青森駅ホームで、1人がバッグを車内に置き忘れたことに気づき、慌てて取りに戻る。間に合った。後で聞くと、反対側の網棚に置いたと言い、「ドアが閉まったら、函館まで行く覚悟だった」。旅の最初のハプニング。
 
昼食は青森駅の近くで地場のものをと決めていた。朱塗りの柱が立ち並ぶ印象的な複合ビル「アウガ」地階の新鮮市場を探す。海産物などを売る店が並ぶ市場を一回りして、帰りの日に買う土産の下見をした。リンゴ箱をいすにした、その名も「りんご箱」という大きな飲食店に入り、海鮮丼や生ずしを注文。飲める4人は生ビールにありついてニコニコ顔だ。店内に客は少ない。
 
この建物は青森駅前再開発ビルで、開業時から経営難が続いており、運営する第三セクターの負債額は30億円を超えるという。帰途に就く日の朝、地元紙・東奥日報の1面トップ記事で知った。この日から「再生の処方箋 青森・アウガ問題」と題する大型連載企画が始まったところだった。
 
食事を終え地上に出て間もなく、テレビクルーを伴った青森放送の女性からインタビューを受けた。女性は「あなたの食事で足りないものは」と質問し、ごはん、野菜、肉の3種類から1つを選ばせ、食生活をあれこれと聞き出す。聞かれる側はだれもが話したがり、能弁だった。別れ際に放送予定を聞くと、帰途の列車に乗り込む時間帯とあって、皆おおいに残念がった。
 
酸ケ湯温泉の無料送迎バスの乗り場探しに多少手間取ったが、運転手に見つけてもらい、定刻の午後2時発車。バスは酸ケ湯温泉直営の八甲田ホテルまで行く。温泉旅館までは約1時間。
 
2部屋に分かれ、一息入れてから千人風呂へ向かった。総ヒバ造りで柱が1本もない大浴場の、入ってすぐの熱湯(ねつゆ)に、タオルを頭に載せた人が1人、首から上を出し背を向けていた。湯は白濁、浴場内はうす暗く、おまけに横顔さえはっきり見えない位置だったが、女性のエリアにいたのだから、一応「混浴」の願いは達成できたことにする。翌日早朝はワンピース水着のようなもので体を包んだ、紛れもない女性の姿を同じ熱湯で確認した。
 
食事はキノコやクリなどの山の幸、ホタテなどの海の幸が体にやさしく調理され、ことさらに存在感を主張する献立は見受けられなかった。食後、再び風呂に入り、雑談会。午後10時過ぎには就寝。