松浦武四郎は「旅の達人」 松坂市が日本橋でセミナー

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 「北海道」の名付け親として知られる松浦武四郎を「旅の達人」として捉える「松浦武四郎セミナー」は37日、武四郎生誕の地・三重県松坂市が主催し、東京・日本橋室町の三重テラスで開かれた=写真は山本氏(左)と黒田氏の対談。

 松坂出身者やゆかりの人を通して、経営哲学や歴史、文化を学んでもらう「松坂経営文化セミナー」の番外編で、テーマは「幕末・維新の日本を歩き尽くした旅の達人」。

今年は武四郎生誕200年、北海道命名150年ということもあり、歴史好きなど約70人で満席となった。

 講師は同市にある松浦武四郎記念館の主任学芸員の山本命(めい)氏と、クラブツーリズムのテーマ旅行部顧問の黒田尚嗣(なおつぐ)氏。

 山本氏は、武四郎の生家の前に伊勢神宮につながる街道があり、こどもの時から「おかげ参り」の大勢の旅人を見ていたことが旅を志す原点になったのではないかと話した。

 また、武四郎が16歳で家出同然に江戸へ一人旅に出た翌年から全国を旅し、28歳からは6回にわたり蝦夷地を探査、70歳で富士山に登ったことなど生涯の大きな出来事をたどった。

 黒田氏は古代中国の書物にある「観光」の言葉を引き合いに、土地や人をしっかり見るという本来の意味で「武四郎は観光の先駆者」と語った。メモ帳には文字による記録だけでなくスケッチや図も丁寧に描いていたことから「旅行ガイドブックの先駆者でもある」。

 このあと対談があり、「旅行に出る前の勉強は大事だが、終わってからのふりかえりはもっと大事。武四郎はそのことを教えている」(黒田氏)、「武四郎はアイヌ民族に案内してもらう時、男性にたばこ、女性には手ぬぐいと針のように土産を持っていく。感謝の気持ちとコミュニケーションを大切にしていたことがわかる」(山本氏)などの話が交わされた。