武四郎の道は未来へ続く 東京でセミナー

イメージ 2 北海道の名付け親の探検家、松浦武四郎(1818~88)の生涯や功績を考えるセミナーが1021日、東京・日本橋の三重テラスであり、約70人が参加した。


 武四郎の出身地、三重県松阪市の主催。生誕200年記念事業のキャッチフレーズ「武四郎の道は未来へとつづく」をテーマに、松浦武四郎記念館主任学芸員の山本命(めい)さんが話した=写真。


 北海道胆振東部地震で大きな被害のあった厚真(あつま)町の「アツマ」が蝦夷地の調査報告に記載されていることや、武四郎役を嵐の松本潤が演じるドラマが来年夏に放送予定であることなど、武四郎にまつわる最近の出来事を紹介。


 北海道を6回踏査し、71歳で死ぬまで全国2万キロ以上を歩いた武四郎。作家らの著作物から「北海道に生涯を入れあげた大旅行家」(司馬遼太郎)、「もしも松浦武四郎がいなかったら、今のぼくたちは当時アイヌが置かれた状況について何も知らないままだった」(池澤夏樹)などの言葉を引用し、「幕末から明治維新にかけてのキーパーソンと近年認識されてきた」と語った。


 山本さんは、各回の調査のルートとポイントを解説する中で、当初の動機はロシアからの防衛だったが、調査の過程で松前藩や商人によってアイヌ民族がひどい扱いを受けている実態を知り、これを世に知らせ、アイヌ民族の命と文化を守ろうとした「民族共生の先駆」と指摘した。


 山本さんによると、武四郎の記念碑は道内に60カ所ある。江戸時代に蝦夷地を調査した最上徳内近藤重蔵伊能忠敬間宮林蔵の誰よりも多く、11月に新しい碑の除幕が予定されているという。(武四郎の実家の画像を説明する山本さん)
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