「東京都内随一のカタクリ群生地」とうたう瑞穂町の「さやま花多来里(かたくり)の郷」を4月2日に初めて訪ねた。
新型コロナウイルスの感染が急激に広まり、土日の外出や密集など「3つの『密』」を避けるよう警告されているが、自宅に閉じこもっていると、それはそれで不健康な身体症状を自覚するようになった。
そこで、観光客は少ないであろうと踏んで平日、オートバイでかの地へ向かうことにした。西東京市の自宅から主に新青梅街道を走り、約20キロ。1時間ほどで順調に着いた。
心配だったのは花の咲き具合。町の観光情報サイトは1週間前の「見ごろが続いています」のまま更新されていなかったし、その後の降雪で茎が折れたりしているのではないか、というものだ。
電話で問い合わせれば済むことだが、見る値がないとわかれば、「不要不急」の要件にあたり、不健康を助長する日常に戻ってしまう。半ばダメ元を覚悟しての出発。
すべては杞憂(きゆう)だった。リーフレットにある「3千平方メートルの斜面に20万株」という規模はピンとこないが、薄紫色の花びらを反り返して咲き誇るものは多く、時折吹き付ける冷たい北風に細い茎を揺らして耐えている。
駐車場の管理員に聞くと、開花後に寒い日が多く、見ごろが長続きしているという。降雪は斜面に一緒に生える雑木がひさしの役をして、カタクリへの影響を抑えたようだという。
数万株に1株といわれる「幻の白いカタクリ」を見ることもできた。「今年は白いカタクリが3株見つかりました。今のものが最後の1本」(管理員)。
新型コロナの影響で電車を利用して来る団体客が姿を消し、駐車場の空きを待つ長い車列もなくなったという。この日もぽつりぽつりとマイカーが訪れ、園内で白いカタクリや気に入った色やスタイルの花にカメラを向けていた。
見ごろは今週末から来週初めごろまでという。入園は無料。案内ボランティアの活動は中止した。