新型コロナウイルスの影響で活動を自粛していた市民団体・北多摩自然環境連絡会の観察会が10月14日、約9カ月ぶりにあり、埼玉県所沢市の「荒幡の富士」などを訪ねた。
11人が参加し、再会を喜び合って午前10時すぎに西武池袋線・新宿線所沢駅西口を出発。リーダーの説明では、コースは市が発行するリーフレット「ところざわウォーキングナビ(2)中央エリア」のおすすめルートを参考にしたという。
旧鎌倉街道の南小前や古代の幹線道路・東山道武蔵路(むさしみち)が見つかった南陵中校庭、新田義貞が鎌倉攻めで陣を張ったとされる八国山東端の「将軍塚」などの史跡をたどり、八国山緑地の「あおぞら広場」で昼食をとった。
尾根道から右の埼玉県側に下りる。久米水天宮と隣の鳩峯八幡神社に立ち寄り、荒幡小の児童たちが名付け親という「ドレミの丘公園」で小休止。約1ヘクタールの土地の寄贈を受けた市が石のベンチと水飲み場を整備した。遊具を置かず、小さな牧場のような風景で、所沢駅周辺などが眺望できる。
林の小道を進むと、荒幡の富士は小さな社(やしろ)のそばにあった。東京都内で見たいくつかの富士塚よりもかなり大きく、ふもとから頂上まで緑に覆われていた。
登山口に立つ教育委員会の説明板によると、明治初期、村に5つあった神社が浅間神社に統合させられて移る際、富士塚も移転して新しくつくられることになった。村内だけでなく近隣の村々の有志も加わり、15年かけて築き上げ、「近郷近在に誇る最大級の人工の富士」となった。
下山後、県の「狭山丘陵いきものふれあいの里」で聞くと、標高約100メートルの丘の上に土を19メートル積み上げた「富士山」とわかった。
登山道は地元保存会の手入れが行き届いていて、階段はしっかりしている。頂上は360度のパノラマ。西武園ゆうえんちの観覧車の一部は森の上に見えたが、本物の富士山は曇って見えなかった。
登るときは気づかなかったワレモコウが5合目の標柱付近に咲いていた。前を行く女性が「秋ねぇ」と手で触れた。大勢の人がいろいろな土を少しずつ持ち込んだことで「驚くほど多くの種類の植物が見られる」(いきものふれあいの里)という。