見てわかる「先史・古代」の最新研究 歴博を見学

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約4万年前の南関東にいたナウマンゾウの実物大の模型が入館者をお出迎え

 西東京市郷土文化会の9月例会が3日、千葉県佐倉市国立歴史民俗博物館歴博)であった。貸し切りバスで37人(ゲスト参加5人を含む)が訪れた。

 

 歴博の展示は、時代区分などによる六つの展示室と二つの企画展示室で行われる。車中で会の幹事の勧めもあり、第1展示室の「先史・古代」と企画展示室Bの「もののけの夏―江戸文化の中の幽霊・妖怪―」に足を運ぶ人が多かったようだ。

 

 第1展示室は、土器の出現や水田稲作の始まりが大きくさかのぼることを明らかにした歴博の研究成果も踏まえ、36年ぶりにリニューアルし今年3月に公開。

 

 日本列島に人類が出現した旧石器時代から、畿内を中心とした古代国家「日本」が成立し、10世紀に中世の姿が見え始めるまでが、実物大の復元模型や復元画を使って描かれる。

 

 新設された旧石器時代のコーナーでは、約4万年前の南関東の風景とナウマンゾウが入館者を迎える。他の博物館のボランティアガイドを務める男性会員は「ビジュアル展示とスケールの大きさはすごい」と話し、2時間余りの持ち時間はすべてこの展示室の見学に費やしたという。

 

 「もののけの夏」展(8日まで)は、幽霊や妖怪を描いた絵巻、錦絵など歴博所蔵の約100点を展示。無数の妖怪たちが行列する様子を描いて特に人気があり、多くの模写品が出た「百鬼夜行図」は、現存するものの中で2番目に古い狩野洞雲益信の作。

 

 絵双六(すごろく)や怪談物の歌舞伎の役者絵からは、妖怪が人々の遊びと娯楽の中に生き、親しまれていたことがわかる。幕末から明治初頭にかけての動乱期は妖怪表現の錦絵が世相を風刺する。

 

 女性会員にはアサガオも人気。第3展示室の特集展示「伝統の朝顔」(8日まで)で近世・近代のアサガオにまつわる文化を学習し、本館から徒歩で10分ほどの「くらしの植物苑」へ。公的機関としては日本最大規模という約100系統、約700鉢の多くが咲いており、珍しい色や模様に見入った。