西東京市独自の小中一貫教育 来年度実施 まず教育広報で周知

 西東京市教育委員会は来年度から実施する小中一貫教育について、11月15日付で発行予定の教育広報紙「西東京の教育」に特集を掲載すると、開会中の第3回定例市議会で明らかにした。児童生徒の保護者や地域住民に初めて概要が知らされることになる。

 

 木村俊二市教育長の答弁によると、特集は、これまで行ってきた小中連携教育の成果や課題、市独自の小中一貫教育についての考え方、2020年度に取り組む内容などを組む予定という。

 

 これまでの小中連携教育では、小学生が中学校での学習や部活動への意欲・期待を高めるなどの成果が見られる半面、一つの小学校から複数の中学校に進学できるという現行の学区制から、連携する中学校以外に進む一部児童にとって、自分の中学校がよくわからない状態になっていた。

 

 小中一貫教育は、このような「実際に進学する中学校への不安を軽減する」ほか、「新しい環境への不安を軽減する」「中学校の勉強への不安を軽減する」の三つの目標を示す。小学生が中学校生活にあこがれや希望を持ち、市内のどこの中学校に進学しても円滑に新しい中学校生活を送ることができるようにするためだ。

 

 2018年度からは中原小とひばりが丘中を小中一貫教育の研究指定校とし、学校生活のルールなどについて研究。カリキュラム開発委員会に参加する教員らは9年間を通じた教育課程を編成し、系統的な指導を目指す。2020年度からは算数・数学と英語科に小中一貫カリキュラムを導入し、優れた授業方法の実践例も示す。

 

 生活指導の担当教員が集まる会議では「全校で統一した生活ルール」を検討していて、来年度導入する。内容は、学校の特色を損ねずに、「円滑に小中の接続ができるものに関してのみに統一したい」(市教委)としている。ただ現時点で確定したものはないという。

 

 このほか、全小中学校一斉の地域清掃デーを設ける。小学5年生には中学校教員が出前授業を行い、小学6年生には中学校一斉体験会を行う。教務主任会が日程調整に取り組んでいる。市教委はこれらの内容について、「教職員に過度の負担をかけるものではない」としている。

 

 教育広報紙の特集では、「生活ルールの統一」は具体的内容に踏み込まず「趣旨」にとどめ、「目指す子ども像」は「検討中」を理由に触れない公算が大きい。

 

 市教委は小中一貫教育の準備に教員約170人がかかわっているという。しかし本格実施に向けて、保護者や地域住民の声を聞いていないことへの批判が市議会の一部から上がっている。市民説明会の開催についても市教委は「検討中」としている中で、教育広報紙がどこまで情報公開するのかも注目される。