「史跡を使いたおせ!」 武蔵国分寺跡 整備完了記念シンポ

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武蔵国分寺跡などの史跡の活用を考えたパネル討論

 国指定の史跡・武蔵国分寺跡の整備完了を記念するシンポジウム「史跡を使いたおせ!」(国分寺市と同市教育委員会主催)が9月21日、国分寺市いずみホールで開かれた。

 

 史跡は、古代の官道・東山道武蔵路跡も加わり、広さは東京ドーム約3個分の約15万5千平方メートル。僧寺地区伽藍(がらん)中枢部は金堂跡の基壇復元をはじめ講堂、中門、鐘楼などの整備を約8年間かけて行い、解説板も設置した。昨年から市立歴史公園として開園。

 

 井澤邦夫市長の開会あいさつ、来賓の文化庁文化資源活用課担当者のあいさつの後、市の担当者が史跡保護の歩みと整備の現状、市教委の担当者が野川流域の寺社や約1300年前の武蔵国分寺創建時に瓦の大半を生産した埼玉県鳩山町の古代窯業遺跡などの関連文化財群について基調報告した。

 

 パネル討論は2部に分けてあり、第1部では市の同寺跡保存整備委員を長く務める野澤康・工学院大教授がシンポジウムの主旨を説明。史跡区域の価値を再認識するとともに、「イベント以外にどう日常的に使うかのヒントを得たい」と話し、歴史と公園の二方向からの見方を期待した。

 

 パネリストは土地利用・景観、観光まちづくり、マーケットの各専門家3氏と地元のNPO法人めぐるまち国分寺代表理事・高浜洋平さん。

 

 古墳が今日まで残った事例の検証、遺跡発掘時のワクワク感を追体験できる工夫、禁止事項というマイナス思考を排し能動的な活動に踏み出す人の存在が大事―などと提案があった。

 

 第2部では司会の野澤氏が「史跡区域の維持管理」「歴史の生かし方」「公園としての使い方」など論点を絞ってパネリストに意見を求めた。非観光地である都市観光で外来者を受け止める仕掛けについての問いに対し、「観光を幅広く考え、地域資源を自慢できる人を育て、場所を育てることが必要」との指摘があった。