仏が無数に増殖する壮大な奇跡 華厳経

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 武蔵野大学仏教文化研究所主催の連続公開講座「大乗経典の魅力を語る」の5回目が11月2日、同大武蔵野キャンパス(西東京市)で開かれ、国際仏教学大学院大学国際仏教学研究所副所長の堀信一郎氏=写真=が「『華厳経』はどのような作品か」と題して話した。

 

 堀氏は、華厳経の正しい訳は「仏華厳経」であり、仏華厳とはハスの花に座った1人の仏の背後に左右に連なる仏の大集団を作り出し、外道を屈服させたという壮大な光景のことだと説明。その光景を表す挿絵や洞窟に残された壁画・彫刻を画像で示した。

 

 仏華厳経の内容については、仏陀(ぶっだ)が悟りを開いた直後に内容をそのまま表現したため難解な部分があるとしながら、入法界品(にゅうはっかいぼん)にはわかりやすい部分もあり、現代語訳の本を読むよう勧めた。

 

 入法界品は資産家の御曹司(善財童子)が悟りを求めてインド各地に54人を訪ね旅する物語で、主要な菩薩のほか、天才的な数学少年など様々な人物が登場し、夜を神格化した女神の過去生も面白いという。