東京・府中市にある戦争遺跡、旧陸軍調布飛行場白糸台掩体壕(えんたいごう)の内部が11月3日、特別公開され、市内外から大勢の見学者が訪れた。
掩体壕は太平洋戦争の末期、戦闘機を空襲から守るために造られた格納施設。調布飛行場の周辺には、コンクリート製の屋根のあるもの約30基と、周りを土提で囲み草や木で作った覆いをかけるもの約100基があった。
現在は、コンクリート屋根のものが都立武蔵野の森公園(三鷹市)に2基、府中市に2基残るが、内部を一般公開しているのは白糸台掩体壕だけだ。
市史跡に指定されており、雨漏り防止工事などの保存整備を行い、東京文化財ウィークの企画事業として文化の日に限定して公開している。
この日は文化財担当の市職員が内部を案内。現在の地面は1.7メートルかさ上げされていることや、資材や労力を切り詰めて機体が入るギリギリの幅と高さで造られ、格納するときは約20人が綱で引き入れ、壕の後部の穴から出たことなどを紹介した。
掩体壕の多くは旧陸軍が個人の土地に強制的に作らせたため、終戦後に取り壊されたが、ここは農家が納屋として使い続け保存状態が良かったという。
見学者たちは、天井からぶら下がるセメント袋の切れ端や固まりかけたセメントをそのまま使ったことがわかる壁面などを目にして、「突貫工事だったのだろうな」などと戦時に思いを巡らせていた。