太宰治ゆかりの地で作品を俳優が朗読する「太宰を聴く」会が7月1日、三鷹市芸術文化センターであった。
21回目の今年の読み手は北村一輝(かずき)。目の前に立たれると、最近テレビで見た役柄と違い、貫禄を感じさせる。大柄に見えたが、身長は私と同じ。
前半の舞台では『猿ヶ島』と『朝』、休憩後は『グッド・バイ』を朗読した。
休憩後に登場した北村は、「疲れていませんか。気楽に聴いてください」とポケットからドリンク剤を取り出してゴクリと飲み、客席を和ませた。
本人も緊張していたのか、朗読途中で何度もコップの水に手を伸ばし、ついには水差しの中が空になり、舞台 そでのスタッフにお代わりを求めるそぶりも。
比較的長い未完の遺作に聴衆が飽きないよう、句読点のように演技を挟んだだとすれば、すごい役者だ。
「未完」と読み終えると、再びドリンク剤を飲み干し、満足そうな笑顔を見せて花束を受け取った。