
桜桃忌のころに合わせて太宰治作品を朗読で味わう「太宰を聴く」(三鷹市スポーツと文化財団主催)の第16回朗読会は6月19日、俳優西岡徳馬さん=写真は公式ウェブサイトから=を招き、三鷹市芸術文化センターで開かれた。
西岡さんが選んだのは『お伽草子』(昭和13年)から「瘤(こぶ)取り」と「カチカチ山」。和服姿で瘤取りを約40分間、休憩を挟んでカチカチ山を1時間余り朗読したが、カチカチ山はタヌキの大量のせりふをポンポンと吐き出し、一人芝居さながらの熱演。終了直後の舞台あいさつでは声がかすれるほどだった。
西岡さんは、昨年暮れに朗読のオファーを受けてから太宰作品をいくつも読み返し、「ちょっと毛色の変わったものを」と今回の作品を選び、バックに流す曲も自分で選んだと話した。
それでも「文語体で書いてあるものをせりふにして言うのは難しい。口が回らなくなるところもありました」と反省の弁。「つたない芸だったと思いますけど、ご清聴ありがとうございました」と深々と頭を下げた。