漫画家・弘兼憲史さん、武蔵野大創立100周年で講演

弘兼憲史さんの作画による高楠順次郎の伝記漫画


 人気漫画『島耕作』シリーズで知られる漫画家、弘兼憲史さん(76)を招いた公開シンポジウムが11月4日、武蔵野大学武蔵野キャンパス(西東京市)で開かれた。

 

 高楠順次郎(1866~1945)が1924(大正13)年、同大の前身となる各種学校武蔵野女子学院」を築地本願寺境内に創設したことに始まる同大創立100周年記念事業。

 

 弘兼さんは伝記漫画『高楠順次郎 仏教学者、世界を駆ける』を描いており、シンポジウムのタイトルも「弘兼憲史先生と学祖高楠順次郎について語る~起業としての学問~」と題した。

 

 本は一般参加者約250人全員に無料で配布された。

 

 弘兼さんは講演で「自己犠牲や覚悟がすごい」「語学の才能に驚いた」などと制作を通して感動した高楠の生涯を語った。

 

 また、預けられた資料に含まれていない建物や船、風景などの昔の写真はインターネットで探し出し、著作権に触れないよう工夫して描いたと、自らの作業にまつわる苦心の一端も披歴した。

 

 仏教文化などの専門家との鼎談(ていだん)では、働き方改革に関連し、「漫画を描くのが好きなのでヘロヘロに疲れ切った状態でも楽しい」「アイデアが浮かばないときは、3本に1本いいものがあればよいと考えることにしている。焦ることはない。人生、プラス思考です」と話した。