古今亭菊之丞独演会が11月2日、東京・三鷹市であり、『明烏(あけがらす)』と『柳田格之進』の2席を聴いた。
菊之丞を聴くのはほぼ2年ぶり2回目。前回の印象が薄いので、今回は実を入れた。
『明烏』は、堅物の若だんなが町内の遊び人に連れられ吉原遊郭で一夜を過ごす噺(はなし)。菊之丞の若だんな然とした顔から聞きほれずにはいられないいい声が発せられ、所作も若だんな役や女形(この噺では女郎屋のおかみ?)にぴったり。
『柳田格之進』は囲碁好き同士が商家で対局中に50両の行方がわからなくなったことをめぐり、商家の主と番頭、浪人に身をやつした武士とその娘が織りなす物語。
前半は前座と二ツ目の落語、後半はウクレレ漫談を前に置いての高座となったが、露払いの芸がどれも素晴らしかったうえ、菊之丞もそれぞれの演目に約30分間をかけて江戸の世界に引きずり込んでくれた。