復活へ動く「女性出家者」 武蔵野大で公開講座

 武蔵野大学仏教文化研究所が「仏教における女性」を統一テーマに開いてきた連続公開講座(全6回)の最終講座は12月3日、同大武蔵野キャンパス(西東京市)であった。

 

 駒沢大学講師の八尾史(ふみ)氏が「律蔵における女性」と題して講演した。

 

 律蔵とは古代インドでブッダが定めたとされる出家修行者の規則を集めた文献。部派ごとに数百年かけて作られ、6種類が現存する。個人が守るべき条項と集団運営の規則(行事、紛争調停、物品の分配など)からなる。

 

 規則の対象は比丘(びく)と呼ばれる男性出家者を基本としており、女性出家者(比丘尼)は例外として扱われているという。男女の違いの例として「比丘の三衣(さんえ)」に対し、胸を隠すなど着衣が2枚多い「比丘尼の五衣(ごえ)」がある。

 

 女性が在家信者になり最終的に比丘尼となるためには大きく4段階の手続きを経なければならない。最後の手続きは348の規則を5人の出家者集団から受ける「受戒」。しかし比丘尼受戒は漢語仏教圏を除いて伝わらなかったり断絶したりした。

 

 それが現在は復活しようとしていると八尾氏は言う。パーリ語圏ではスリランカの女性集団が韓国や台湾の比丘尼集団の助けを得て受戒。ただパーリ仏教の規則では受戒と認められない。

 

 チベット仏教界では「比丘尼の資格」とは別に、男性出家者が17年かけて獲得する「学位」を女性も獲得できるようになった。

 

 八尾氏はチベット尼僧たちの学位取得の動きについて、「仏教の世界では重大な出来事。未来がある」と話した。