広場やスポーツ施設 整備事業に寄付募る? 市が「金額」アンケート

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児童センターのフットサルコート。「整備にいくら出せますか」のイメージの1つになった

 市民が憩う広場を整備する場合、あなたはいくらなら支払ってもよいと思いますか――。普通なら全額公費(税金)で行われるはずの事業に、個人や世帯が寄付できる金額を選ばせる調査を、西東京市が始めた。調査の意図がわからない、との声が出ている。

 

 調査は8月、庁舎統合に先がけて解体する保谷庁舎の敷地活用をめぐる説明会・意見交換会の後のアンケートの中で行われている。

 

 「市民の憩いの場として広場を整備する場合」は0円、100円台、千円台、1万円台から最高2万円まで、「市民の健康増進の場としてスポーツ施設を整備する場合」は0円、500円、千円台、1万円から最高5万円まで、いずれも計14の金額が並び、近い金額を1つ選ぶ。

 

 回答のための材料として、アンケート用紙にイメージ写真を掲載。「広場」は市内の小学校の芝生の校庭など2カ所、「スポーツ施設」は市の児童センターのフットサルコートなど4カ所で、1カ所ずつ概算の整備事業費が口頭で伝えられた。

 

 アンケートでは広場、スポーツ施設とも1回当たり支払ってもよい利用料と利用頻度についてもたずねている。

 

 市は保谷庁舎の敷地は民間事業者に有償貸付し、暫定の9年間活用してもらうことを期待している。しかし、この官民連携事業に民間事業者から応募がないか、望ましい提案がないと、市が何らかの施設を整備することも想定されるという。

 

 このため、市が直接整備する場合の「価値、効果、市民意向を調査したい」としながら、「あくまで仮定の計画」「各世帯または利用者からお金を集めて事業を実施する仕組みを考えているわけではない」とも強調しており、真意がわかりにくい。

 

 集計結果は果たして敷地活用基本方針に盛り込まれるのか。盛り込まれるならば、どう読み解かれ、どんな方向性を下支えするのか。

 

 市は使用料・手数料の基本方針の見直しを進めている。集計結果が受益者負担の見直しなど根源的な施策展開に利用されるのではないかと見る向きもあり、公表の行方が注目される。