笑いに全力 柳家花緑独演会

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終演後に張り出された花緑さん直筆の演目一覧表

 

 柳家花緑の高座を初めて見た。3月12日、三鷹市芸術文化センターで開かれた柳家花緑独演会の昼の部。落語会で昼の部と夜の部があると、経験的にはチケットは昼の方の売れ行きが速いようだ。それがなぜかを考えかけたことはあったが、自分がよい席を取れればよいだけということで思考停止していた。

 

 今日は花緑さんに新しい視点を教わった。それは芸人の立場からのもので、2回公演の場合、どうペース配分するか。「そりゃ、1回目がいいに決まってるんですよ。人間として出し惜しみなんて無理ですから。夜にエネルギーを残そうなんて考えない。命がけですから、夜は抜け殻です」。

 

 くすぐられて笑っていると、夜は夜で言うことが違うという。「1回目(の昼の部)はけいこです」とばらした。大きな笑いがはじけた。罪のない「二枚舌」。笑ってだまされる世界の楽しさ。

 

 酒は飲めないというが、酔っ払いのしぐさが見事な『親子酒』、実家に空き巣が入ったことから『もぐら泥』の2席を演じ、後半ははかまに着替えて古今亭志ん朝から学んだという『愛宕山』を語った。

 

 チラシを見たときに、あの政治評論家で弁護士に顔が似ていると思ったが、本人もマクラで「橋下徹」と実名を出していた。花緑さんは2歳若い50歳で、声も鍛えられている。ただ頭の回転と舌の回転は甲乙つけがたい。