柳家さん喬 絶品の二席 㐂三郎の真打ち昇進披露も

 柳家小太郎改め柳家㐂三郎(きさぶろう)の真打ち昇進披露を含む柳家さん喬独演会(昼夜2部)が6月26日、東京・三鷹市芸術文化センターであった。

 

 昼の部は良い席が取れず夜の部を見た。口上の後、二人が昼の部と入れ替わり、柳家り助が「寿限無」、9月に真打ち昇進が決まっている二ツ目柳家小んぶが「臆病源兵衛」を語った。

 

 前半のトリ、さん喬は、師匠の5代目柳家小さんに入門したころに同行した旅の思い出話をマクラに、旅の絵師が泊まった宿屋を舞台とする古典落語の名作「抜け雀(すずめ)」を演じた。

 

  仲入りの後は柳家小志んが「片棒」を、さん喬は、見栄っ張りの男が腐った豆腐を食べる羽目になる「ちりとてちん」を演じ、大トリは「粗忽(そこつ)の使者」で㐂三郎が務めた。3月に真打ちとなった㐂三郎の噺(はなし)には勢いを感じた。

 

 落語家5人が高座に上がる番組ではあったが、さん喬師匠の存在感は別格。聞き手を無防備にさせる淡々とした語り口、扇子を筆やはしに見せてしまう絶妙なしぐさは、なんともたまらない。