黒曜石と土偶と火焔型土器 縄文のふるさとを訪ねて (2)

国宝土偶縄文のビーナス」=茅野市尖石縄文考古館

国宝土偶仮面の女神」=茅野市尖石縄文考古館

 マイクロバスは山道を戻り国道を茅野へ。お目当ては国宝の土偶2体。茅野市尖石(とがりいし)縄文考古館にある。愛称がついていて、大きく尻を張り出した「縄文のビーナス」、カマキリの三角頭を想像させるのが「仮面の女神」。

 

 ビーナスと仮面との対面は3度目になる。初対面は2014年、地元・西東京市の文化団体が尖石縄文考古館を見学したとき。2度目は「縄文1万年の美」を切り口に2018年、東京・上野の東京国立博物館で開かれた特別展で。

 

 国宝の土偶は全部で5体しかないから、2体を1カ所で見られるのはうれしい。しかもビーナスは国宝指定第1号。土偶はその造形は記憶に残るが、大きさは忘れやすい。今回も「意外と大きかった」と記憶を上書きし、それぞれ高さ27センチ、34センチという数字を確認した。

 

 考古館では学芸員がレーザーポインターで穴や模様など細部の特徴を説明してくれたが、わからないことが多いようだ。縄文のビーナスはピンと糸で止めなくてもよいほど安定していることや、持ちやすくもあり、持つことを意識して作られたのではないかとの仮説も披露された。さて、それが縄文人の生活にとってどんな意味を持っていたのだろうと想像がかきたてられる。仮面の女神はボディーペインティングや入れ墨の可能性もあるという。