人それぞれ 80歳の壁

 国際男性デーの11月19日、朝日新聞社が主催する「健康フェスタ」が東京・丸の内の丸ビルであった。

 

 男性の健康を考える45分間のプログラムが4つあり、そのうちの「『80歳の壁』を前に」に応募して当選した。

 

 「80歳の壁」は精神科医和田秀樹さんの著作で、2022年の年間ベストセラー総合第1位。和田さんはステージでフリーアナウンサーの問いに答える形で食べ物や運動などのコツを話した。

 

 塩分や脂肪、甘いものは控えてと言われるが、食べる楽しみをなくしちゃいけないと肉の摂取を勧め、血圧は高い時の方が頭がさえるとか、本を読むなどこれから勉強するのはやめて今まで頭の中にためたものをいかに出すかが大事――と、ともすれば常識や前向きとされていた考え方に一石を投じた。

 

 逆説的な物言いは好ましいが、いかんせんテーマが大きいのに時間は短い。隔靴搔痒(かっかそうよう)、ときに誤解を招きかねない話もあった。私は体力に自信がなく地域参加できない後期高齢者という不安におののいているが、立ち直るヒントをつかめず残念だった。

 

 定員250人という会場は満席。60代、70代が多いように見えた。パリッとした身なりの内に悩みや不安を抱えて来たのだろうか。