西東京市でシニア向け地域情報紙を発行する「きらっとシニア倶楽部」は3月2日、市内の代表的な古道「横山道(よこやまみち)」を、郷土史家で市文化財保護審議会委員の近辻喜一さん(73)と一緒に歩いた。(写真は東大農場で途切れる横山道)
4月発行予定の最新号の特集「道と暮らし」(仮題)取材のひとつ。
出発地の芝久保公民館で横山道の基礎知識を教わる。18世紀初頭の宝永年間に作られた絵図によると、日光街道千住宿から西に延びる横山道は当時の田無村で二手に分かれる。手前で南へ向かうのが府中道(ふちゅうみち)、南西へ向かうと甲州街道の八王子や東海道の平塚、大礒に至る。その分岐点は東大農場の中にあり、昭和初期、田無町が国に用地を売ったことで道も消えたという。
東大農場の南側を迂回するかたちで所沢街道から東大農場通りに入る。近辻さんが「アニメの聖地」と呼ぶ所は、人気アニメ「ドラえもん」で有名になった会社が青梅街道沿いに進出する前にここを拠点としており、今も別のアニメ制作会社が作品作りや地域貢献活動に取り組んでいる。
安全管理上の理由から市民の立ち入りができなくなった農場東門の先から横山道が復活し、谷戸新道を横切ると「フラワー通り」と名を変える。フラワー商店街が先に形成され、通りの愛称は後から付けられたという。
横山道が歴然と名を残すのは保谷志木線を越えてからだ。コミュニティバス・はなバスの停留所にその名があり、歩道に標識もある。保谷高校を過ぎ、工事中の調布保谷線を越えると、西武池袋線沿いに農道のような細い道になった。「題目馬頭観音塔」の解説を聞き、踏査を終えた。
寄り道や随所での解説もあり、約7キロを3時間で歩いた。