このサービスは区観光協会が運営し、申し込むと事務局がガイドを選んでくれる。ありがたいことにガイド料金は無料だ。
集合場所や時刻、コースなどを何度かメールでやりとりし、当日の降水確率は高かったが「とりあえず予定通り決行。あとは雨の強さを見て動きましょう」と前夜、ガイドさんに伝えた。
ガイドさんは男性で私たちと同年配か少し上に見えた。手渡された「深川門仲ご利益コース」の絵地図を見ると、ここはモデルコースのゴール地点になっている。それが出発点なのは、散策後の飲み会の店に近い所で解散するというコース設定をしてくれたからだ。
絵地図にない所では法乗院(深川ゑんま堂)にも立ち寄った。日本最大とされる閻魔(えんま)大王坐像を拝み、いくつも並ぶつぼから一つを選んでさい銭を入れ、天から響くような閻魔様の説法を聞いた。ガイドさんが寺に頼み込んで、閉館していた本堂の扉を開けてもらい、16双の地獄極楽絵を見ることもできた。
富岡八幡宮に大関力士碑と横綱力士碑があることは知っていても、「日本相撲協会は一切関与していない」など、へぇーと感じ入るエピソードも多い。ただ、そんなガイドさんが、殺人事件の被害者となった宮司の自宅について、「立派な建物なので、事件が起きるまで個人の家と知らなかった」と正直に明かした。その建物は工事用のシートで覆われていた。
3時間に及ぶまち歩きだったが、みんな疲労は感じなかったようだ。むしろ仲間の一人が「本当にお礼をしなくていいのか」と小声で問いかけてきたように、このガイドさんのレベルなら十分「有料」に値する。金銭が駄目なら謝礼の品があってよいと感じた。分厚い資料ファイルは重そうで繰るのに苦労していた。
ガイドツアーのアンケート用紙の「非常によかった」に丸を付けるだけでは気の毒だ。「江戸っ子のきっぷよ」と言われればそれまでかもしれないが。(下の写真は左から深川不動堂、辰巳新道の飲食店街)