深川門仲ご利益コースを歩く 有料に値する名ガイド

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 全員が70代となった大学時代からの遊び友達4人で316日、東京都江東区門前仲町かいわいを散策した=写真は深川ゑんま堂。

 およそ3カ月に1度の割合で焼き鳥屋に集まっているが、たまには歴史探訪もよかろうという声が出て、昨年、別の団体でお世話になった「江東区文化観光ガイド」のまちあるきガイドサービスを利用させてもらった。

 このサービスは区観光協会が運営し、申し込むと事務局がガイドを選んでくれる。ありがたいことにガイド料金は無料だ。

 集合場所や時刻、コースなどを何度かメールでやりとりし、当日の降水確率は高かったが「とりあえず予定通り決行。あとは雨の強さを見て動きましょう」と前夜、ガイドさんに伝えた。

 当日午後2時前、集合場所の門前仲町駅1番出口に上ると、予報通りに雨が降っていた。

ガイドさんは男性で私たちと同年配か少し上に見えた。手渡された「深川門仲ご利益コース」の絵地図を見ると、ここはモデルコースのゴール地点になっている。それが出発点なのは、散策後の飲み会の店に近い所で解散するというコース設定をしてくれたからだ。

ガイドさんの心遣いは随所に感じられた。深川不動堂では3時から始まる護摩行に合わせて館内外の案内時間を調整したり、俳優石倉三郎の奥さんが経営する割烹の前の通りを追加してくれたり。

絵地図にない所では法乗院(深川ゑんま堂)にも立ち寄った。日本最大とされる閻魔(えんま)大王坐像を拝み、いくつも並ぶつぼから一つを選んでさい銭を入れ、天から響くような閻魔様の説法を聞いた。ガイドさんが寺に頼み込んで、閉館していた本堂の扉を開けてもらい、16双の地獄極楽絵を見ることもできた。

富岡八幡宮大関力士碑と横綱力士碑があることは知っていても、「日本相撲協会は一切関与していない」など、へぇーと感じ入るエピソードも多い。ただ、そんなガイドさんが、殺人事件の被害者となった宮司の自宅について、「立派な建物なので、事件が起きるまで個人の家と知らなかった」と正直に明かした。その建物は工事用のシートで覆われていた。

3時間に及ぶまち歩きだったが、みんな疲労は感じなかったようだ。むしろ仲間の一人が「本当にお礼をしなくていいのか」と小声で問いかけてきたように、このガイドさんのレベルなら十分「有料」に値する。金銭が駄目なら謝礼の品があってよいと感じた。分厚い資料ファイルは重そうで繰るのに苦労していた。

ガイドツアーのアンケート用紙の「非常によかった」に丸を付けるだけでは気の毒だ。「江戸っ子のきっぷよ」と言われればそれまでかもしれないが。(下の写真は左から深川不動堂、辰巳新道の飲食店街)
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