痛恨 北海シマエビ漁は解禁前 6月17日(土)3の2

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根室海峡の向こうにかすんで見える国後島

 尾岱沼(おだいとう)では北海シマエビ漁を目の前で見ることにあこがれていた。

 

 打瀬舟(うたせぶね)と呼ばれる白い三角の帆を張った小舟が網を引く明治以来の伝統漁法。湾の向こうに鳥のくちばしか釣り針のように延びる野付半島とともに何度か尾岱沼を訪れたが、操業時期を外したり悪天候で出漁しなかったりで、漁を間近で見学できる観光船に乗りたい思いは募る一方だった。午前8時前の朝早い集合なんの、2時間で1万4千円の料金もなんの。心配は定員が12人までと少ないのではじかれることだけだった。

 

 この夢があっけなくくじかれたのは、尾岱沼の宿泊先の温泉民宿「みさき」で、宿を仕切る“かあさん”から「今年の漁始めは19日」と聞いた時だった。

 

 北海シマエビ漁の漁期は夏と秋の2回あり、夏漁は「6月中旬から」のはずだった。「天候は運任せ」と覚悟はしていたが、フライングはまったくの想定外だった。だが、北海道からの帰着日をもとに、練りに練ってコースを組み立てた結果だから仕方がない。

 

 実は痛風の治療中の身。プリン体の多いエビは極力避けるようにという神のおぼしめしと思うことにした。観光船を下りた後、活エビとゆでエビを試食できることになっていたのだから。

 

 こんな結末が待っているとはつゆ知らず、釧路のホテルを出発。この時点で国道272号をひたすら北東へ向かうことに決めた。国道44号をそのまま根室へ向かい、厚床から北上するなどのルートも考えたが、「わかりやすい」を最優先した。

 

 国道272号は、いかにも北海道を走っているという印象だ。見えるのは林か草地で、人家がない。中標津まで約80キロ区間にある信号は3カ所だったように思う。制限速度で走ったが、後続のすべての車が追い越していった。

 

 標津町に入ると風が冷たくなり、海が近いことを教えてくれる。272号が突き当たるT字路を右折して国道244号を南下する。V字分岐を右に入れば244号だが、ぼんやりしていてつい左の野付半島方面の道道へ。

 

 まもなく「展望パーキング」という駐車場があり、ツーリングらしいバイクが数台止まっていた。私もそばに止め、シルエットがかすむ国後島や下半分がもやに隠れた知床半島に目を凝らした。

 

 この景色が大きな意味を持っていたと知るのは民宿に着いてからだった。

 

 来た道を戻り、244号を南に向かうと目当ての民宿はすぐわかった。