7月から8月にかけて市民生活に直結する市の事務処理ミスが相次ぎ、第3回定例会初日の8月28日、本会議の冒頭に行われた市長報告と教育長報告をめぐって長時間に及ぶ質疑応答があった。
丸山浩一市長は、8月分の介護保険料を年金から天引きする特別徴収の金額が市の通知書と異なり、約4万2千人に追加納付または市からの返還が必要になったこと、そのため新たに予算を組まなければならないこと、これとは別に本人から申請があるまで生活保護費の認定・支給漏れが21カ月に及んだことを報告し謝罪した。
木村俊二市教育長は、「市学校施設適正規模・適正配置に関する基本方針(素案)」と、中央図書館・田無公民館耐震補強等改修工事基本設計説明会で配布した田無公民館の休館に伴う「類似施設整備状況一覧」に多くの訂正箇所があったと述べ、謝罪した。
市長報告には10氏、教育長報告には9氏が質疑を行い、引き続きこのうち6氏が緊急質問した。
8月分の介護保険料については、誤った保険料額を市が日本年金機構に通知したとし、追加納付の対象は約3万1600人で総額約4600万円、市の返還は約1万400人で総額約5700万円であることを市は26日付でホームページに掲載している。
この日の質疑では新たな事実が明らかになった。介護保険料の事務処理ミスでは、年金機構に送るデータの入力担当者が8月分の取り扱いが初めてで、徴収額を補正していない日付を入力してしまった。また、この処理結果は担当職員以外の人が確認する仕組みになっていなかった。
追加納付しなければならない人の最高額は4万円、最少は100円で平均は1500円。1千円以下は2万4千人いるという。入院などで指定場所での納付が困難な人には市職員を出向かせるという。一方、払い過ぎ分が戻ってくる人の最高額は5万6千円、最少は100円で、平均が5500円。1千円以下は2900人。
過不足分を10月以降の年金で調整する方法には年金機構が強く難色を見せている。このため市が単独で後始末をしなければならず、予備費と今回の補正予算合わせて約880万円の経費を見込んでいる。
緊急質問した森輝雄氏(無所属)が「事務上のミスだけではない。市長は(職員の)人心掌握に失敗している」とただすと、丸山市長は「人心掌握しているとは決して思わない。組織としてどうあるべきかということが問われている」と切り返した。
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市は8月28日付のホームページで、特別徴収の金額に誤りのあった市民宛てにお知らせを27日に発送したことや、個別の問い合わせに応じる専用ダイヤル(042・420・2867)の設置を掲載。合わせて振り込め詐欺や還付金詐欺に注意するよう呼びかけている。