ドリトル先生の新物語 生物学者・福岡伸一さん語る

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ドリトル先生への愛や尊敬を語る福岡さん(右)=朝日新聞の配信画面から

 朝日新聞の記者イベント「福岡伸一さんにきく~『新・ドリトル先生物語』誕生秘話」のオンライン配信が6月13日にあり、自宅でパソコンで視聴した。

 

 ドリトル先生物語は、動物の言葉がわかる獣医が助手の少年や動物たちと繰り広げる冒険物語シリーズ。児童文学の名作で井伏鱒二らの訳で知られる。昆虫好きの少年だった福岡さんは偶然この本と出合い、面白さに引き込まれた。生命とは何かを考える生物学者になった原点という。

 

 新・ドリトル先生物語は4月から朝日新聞で連載が始まった。福岡さんは井伏訳を現代的に訳しなおした「航海記」を著しているが、飽き足らずにオリジナルな物語の執筆へ。

 

 時代は原作と同じ19世紀前半。ドリトル先生とスタビンズくんという登場人物も借りてガラパゴス諸島へ向かう。「これから奇想天外な展開になります」と福岡さん。

 

 ガラパゴス島にはダーウィンと同じ航路で行きたいというのが福岡さんの夢だった。それが昨年春に実現した。原作と同じように自然が守られている島で、今度はドリトル先生が頭の中に降りてきてスタビンズくんと勝手に話しだした。それがノンフィクション紀行の『生命海流GALAPAGOS』と、そのスピンアウト作品である新聞連載小説になったという。

 

 福岡さんは視聴者からの質問にも答えた。新型コロナウイルスが問いかけてきたものに対しては、「生命は38億年の歴史があり、人間と共生関係を作ってきた。今見える未来よりも、もっと下がって見るという長い時間軸が必要」。

 

 次世代へのメッセージを問われると、「好きなことを大切にして、試行錯誤や落胆・失望があっても、ずっと好きであり続けること」と話した。

 

 このイベントは下記のURLで6月20日午後11時59分まで視聴できる。

https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11004538/special01?revision=LIVE