西東京市図書館講座の一つとして初のアイヌ文化を知る講座が3月5日、柳沢公民館で開かれ、親子2組を含め13人が民族楽器の演奏を体験した。
はじめに、アイヌの人たちに受け継がれる音楽や踊り、食物の採取をはじめ、いろりを中心とした暮らしぶりや儀礼の再現などを収めたDVDが上映された。
講師はアイヌ民族文化財団のアイヌ文化活動アドバイザー、宇佐恵美さん。「こんにちは」と同じ「イランカラプテ」(「プ」は小文字が正式表記で、発音しない)や、鉢巻きから脚半まで自分が身に着けているもの呼び名を書き並べたり、アイヌ語を語源とする地名について話したりした。
楽器は、竹と糸で作ったムックリ(口琴)を一人に一つずつ貸し、独特の震える音が出るまで、持ち方や糸の引き放す力加減を何度も繰り返して教えた。新型コロナの感染対策から、口の中で音を響かせる本来の奏法は宇佐さんだけが実演した。
4本の弦を張ったトンコリは樺太アイヌの楽器で、悪い神を眠くさせると言う。胴部に石が入っていることや弦を指で押さえず、ドレミの音階もないことを説明し、参加者全員に順番に弾かせた。「胴部の木の肌触りが優しい」「体への響きがいい感じ」と参加者たち。
関東地方で生まれ育った宇佐さんは、北海道に住んだことがないと言うと「ニセモノ扱いされたり、がっかりされたりする」と笑わせる一方で、偏見や差別がなくなり、「親がルーツを話せる世の中になってほしい」と話した。