迫力!等身大の兵馬俑 上野の森美術館

始皇帝の絶大な権力を示す等身大の兵馬俑が並ぶ会場

 日中国交正常化50周年を記念した展覧会「兵馬俑(へいばよう)と古代中国-秦漢文明の遺産-」(東京新聞など主催、2月5日まで)を見に1月30日、東京都台東区上野の森美術館へ出かけた。

 

 閉幕が迫っており、相当の混雑を予想していたが、予約した午前11時30分~正午の枠は10分程度の待ち時間で入れた。

 

 展示の目玉である秦の始皇帝陵を守る等身大の兵馬俑群に行き着くには、まず2階を見てから1階に下りるよう、順路が設定されている。だから、2階会場には始皇帝の時代の前と後の展示物があって、時代構成がチグハグな感じは否めない。

 

 ともあれ、2階の会場入り口で音声ガイドの機器セットを600円で借りた。音声ガイドは薄明りで解説を読むよりも疲れないし、展示物に集中できる。メモもとりやすい。

 

 今回の場合、兵馬俑のほか青銅器や武器、文字資料など約200点が展示され、このうち見どころ中の見どころ21点を俳優谷原章介らが案内している。

 

 入場してまず目に入るのは高さ22センチの騎馬俑。戦国時代の長い混乱の中で小ぶりな兵馬俑が生まれ、統一秦で始皇帝の絶大な権力を反映する等身大の俑になることを暗示する。

 

 等身大の兵馬俑を見ずして、つまり秦の時代を飛び越えて再び小さくなった漢の時代の俑を見る。鉢巻きをして盾を持つ歩兵俑。腕が木製になり、よろいなどを見に着けさせる裸体の武士俑。ともに兵馬俑の3分の1のサイズだ。

 

 「統一王朝の誕生-始皇帝の時代」のタイトルの1階会場で観客を出迎えるのは4頭の馬が車を引く青銅製の「銅馬車」(複製品)。実物の半分の大きさだが、6千点の部品からなるといい、皇帝の威光を見せつける。

 

 その奥に等身大で精悍(せいかん)な顔つきの戦車馬とそれを囲む兵馬俑が8体。弓を引く立ち姿の兵士、歩兵を束ねる将軍(高級武官)などすべて国宝級の選りすぐりで、初来日のものもあるという。迫力を感じながら、ぐるりと一回りして見ることができる。

 

 この会場は写真撮影ができ、出口近くには兵馬俑群をバックに撮影できるスポットもある。