「間抜けぶり」競演 白酒・兼好二人会

 桃月庵白酒三遊亭兼好の二人会が5月13日、三鷹市であり、昼の部を聴いた。

 

 白酒と兼好は出身地や師匠が違い、白酒は兼好よりも真打ち昇進が3年早く、学年も一つ上だが、どこで気が合ったのか、この組み合わせの二人会は各地で開かれているようだ。チラシにはお互いが相手を描いた似顔絵を添え、少しも毒のない人物紹介が載っている。

 

 昼の部は白酒・兼好・兼好・白酒の順番。前半、白酒は床屋を舞台にまね将棋のドタバタや、文字をよく読めない男が見えを張って仲間にでたらめ読みしてからかわれる「浮世床」を、兼好は横柄な侍が渡し船の中でキセルのがん首を川に落としたことから緊張の場面が展開する「岸柳島(がんりゅうじま)」を演じた。

 

 中入り後は兼好が「夏泥」。東京・銀座で起きた高級時計店の強盗事件をマクラに、貧乏長屋に侵入したコソ泥が住人に同情して持ち金全てを渡してしまうお人好しぶりがおかしい。

 

 白酒は、吉原の花魁(おいらん)にほれ込み何としても会いたい田舎の金持ちと、この男の顔も見たくない花魁が次々と繰り出す逃避作戦を描いた「お見立て」で締めた。

 

 二つの演目は、笑わせどころがよく似ている。夏泥は被害者のはずの長屋の大工が借金のかたに取られている道具箱だけでなく、利息やなんやかやと理由が上積みされ、泥棒はそれらに応じる。

 

 一方、客と花魁の間に立つ男は「花魁が患った」から入院、死亡、寺、墓地へと言われるままに逃げ回るが、客の男は追及を緩めない。

 

 貧乏男のカネの要求も、花魁のうそも、どんどんエスカレートする。そのバカバカしさが絶妙な語り口により笑いの連続を生み、ともにサゲで終わる。白酒と兼好は打ち合わせて演目を決めたに違いない。二人会の醍醐味(だいごみ)を味わわせてもらった。