東大の田無演習林に学ぶ 公民館が講座

都市の中の森林・田無演習林について説明する助教の前原さん

特別に公開されたマツの苗畑。霜よけに枯れた松葉がかぶされている

 西東京市保谷駅前公民館主催の環境講座は2月17日、東京大学大学院附属田無演習林(緑町1)で初めて行われ、20人が参加した。

 

 東京から消えてゆくなかで残る都市林や屋敷林の魅力と大切さを、現地を訪れて専門家らに教えてもらうのがねらいだ。屋敷林の高座は24日、下保谷4丁目特別保存地区(旧高橋家屋敷林)が予定されている。

 

 東大演習林は北海道、関東、東海地方に計7カ所あり、全体の面積は東京都23区のほぼ半分にあたる約3万2300ヘクタール。田無演習林は約8ヘクタールで、最も小さい。

 

 セミナーハウスでの講座では、同演習林助教の前原忠さん(56)が「都市の中の森林について」と題して話した。

 

 同演習林は戦後まもなく周囲がほとんど畑だったが、1970年代から宅地化が進み、現在まとまった畑と森林があるのは東大演習林と旧東大農場だけになったことを航空写真で示した。

 

 都市の中の森林の管理については、現在の森林(樹木)の状態や人のかかわり方、動植物の状態を把握したうえで、将来どんな森林にしたいかという目標を設定するなどの手順を説明。市と市民団体が、武蔵野の雑木林の面影を残す公園づくりと取り組む西原自然公園の事例を紹介した。

 

 午後は前原さんの案内で外周の見学路を歩いた。人の手を加えないと林がどう変わるかを観測する区画や本来標高の高い地帯で育つカエデが東京の平地で育つかを調べる見本林、外国産や品種別のスギやマツの見本林のほか、花の時期に見学者が訪れるハンカチノキやヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)、樹高が最も高いメタセコイア林の落葉した姿を見た。

 

 幹の直径や木の高さを測る専門の道具や器具の実演と体験、一般には公開されないマツの苗畑見学もあり、参加者たちは楽しみながら森林への理解を深めた。