「縄文の始まりと終わり」 世界遺産記念フォーラム

世界遺産「北の縄文」の魅力や価値を考えたフォーラム

 北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録2周年を記念するフォーラムが1月28日、東京・千代田区有楽町朝日ホールであり、約700人が参加した。

 

 「縄文時代の始まりと終わり」と題して講演した根岸洋・東京大学大学院人文社会系研究科准教授は、土器が出現した1万5千~1万6千年前の寒い氷河期末期が縄文時代の始まりと考えられ、定住はしていないと話した。

 

 縄文時代の終わりには、稲作農耕が行われる弥生社会と北・東日本の晩期縄文社会が併存しており、九州と本州北端では400年以上の地域差があったという。

 

 世界遺産となった縄文遺跡群(構成資産)は17カ所あるが、定住開始という縄文時代の始まりを示すのは大平山元(おおだいやまもと)遺跡(青森県外ヶ浜町)。

 

 その次の展開として集落(ムラ)が成立し、その中で居住域と墓域が分離した姿を示すのが垣ノ島遺跡(北海道函館市)だ。それぞれの遺跡を発掘調査した専門家が特徴や整備状況などを報告した。

 

 弥生時代の専門家を交えた意見交換では、謎が残る土器の出現や時間がかかった稲作の北上、弥生時代の戦闘などについてパネリストが見解を披露。

 

 コーディネーターを務めた岡田康博・三内丸山遺跡センター所長は「世界遺産の価値や魅力は現地を訪れてこそわかる。ぜひ楽しんで旅をして」と参加者に呼びかけた。