入場時に渡されたチラシでは前半、前座、今月真打ちに昇進した柳家福多楼に続いてトリを務める順番になっていたが、福多楼を飛ばして権太楼が「らくだ」を1時間演じた。
落語半可通の私は「らくだ」を初めて知った。こんなに長編の作品とは思わなかったので集中力が途切れ、後段の一部ストーリーと登場人物があやふやになった。
このため帰宅後、あらすじや「かんかんのう」「ひや(火屋)」を調べることに。とはいえ、小心なくず屋が酒乱に変貌したり、死人にかんかんのうを踊らせたりするさまには笑った。
後半の高座で開口一番「疲れたよ」に会場も爆笑。権太楼は私より学年一つ上の76歳。うらやましいほどお元気です。
その後半で演じたのは新作落語の「幽霊蕎麦(そば)」と古典の「笠碁」の2席。ここの落語会は、お題がいつも終演後に貼りだされるのだが、今日は私にはすべて初物だった。
そこでこれらも調べてみたところ、幽霊蕎麦は2007年、若き権太楼が演じる動画を見つけた。三鷹の高座では「ネタとして出したことがない」と言い、翌日にテレビの録画撮りがあるので稽古させてと、客席を喜ばせていたのに。
笠碁はサゲの場面の言葉が聴き取れず、笑いそこねた。けんか別れした碁敵が雨の日、訪ねようか、招き入れようかとけん制し合っているさまがとてもおかしかっただけに、笑って締めくくれなかったのは残念至極だ。