談春の独演会に酔う

 立川談春の独演会が11月25日、三鷹市公会堂であった。

 

 公会堂のホールはいつもの芸術文化センターの2倍ほど広く、格上の人気落語家に使われる。料金も高い。開演ギリギリに滑り込むと、案の定、約700の客席は埋まっていた。

 

 談春を聴くのは2度目。前回は1時間を超える長編「九州の吹き戻し」を聴き通せたが、この日の2席目「御神酒徳利(おみきどっくり)」も長かった。

 

 日本橋の旅籠(はたご)で、徳川家康から拝領したお神酒徳利が大掃除の日になくなったことに端を発し、二番番頭とその女房が生み出したインチキ占いが巻き起こす出来事がテンポよく語られた。

 

 師匠談志を思わせる絶妙な間のとり方や抑揚、先を読みやすい噺(はなし)の展開、そこに笑いのツボがほどよい間隔で埋め込まれていて、少しも退屈しなかった。

 

 独演会の名の通り、前半(「味噌蔵(みそぐら)」)と後半を談春一人で通した。終演後に客席と一緒に行った三三七拍子とともに楽しくも珍しい落語会ではあった。