画題は「おばあちゃんの葬式」 知人が国展に出品

「おばあちゃんの葬式」と題した知人の作品

作品の前で話を交わす親子

 国展に出品していると都内の70代の知人から案内状をもらい、5月12日に東京・六本木の国立新美術館へ出かけた。

 

 国展を主催する国画会は100年余りの歴史のある美術団体で、毎年春に開く国展は日本最大級の公募展という。

 

 知人が絵を描いていること知ったのは2年前で、やはり公募展の案内状をもらったからだ。その時の作品以来、「おばあちゃん」が絵の中心にいて、今回の画題も「おばあちゃんの葬式」。

 

 自宅での通夜振る舞いだろうか。おばあちゃんが納まるひつぎに、愛用していたであろうつえを入れようとする男の子、その前で振る舞われる酒やごちそう、ゲームに興じる子どもたち。

 

 1枚の空間に25人が描かれている。一人一人の表情や動作をはじめ、祭壇の線香1本まで丁寧に描かれ、絵の中から会話や物音が聞こえてきそうだ。欲張りすぎと思われるほど広角の構図とともに、おばあちゃんシリーズの持ち味になっている。

 

 伝統的な「通夜振る舞い」が今では珍しいのか、周りに抽象的な作品が多いせいか、足を止めて見入る来場者が結構いてうれしくなり、なかなか立ち去れなかった。

 

 それにしても…おばあちゃんが亡くなった後は何を描くのだろう。