江戸時代の俳人一茶の生涯をたどり、俳諧師としての厳しい生活、父の財産相続問題、わが子の死などの局面で詠まれた句や文を紹介。桜の花には死のリアリティーと快楽にふける人間の対照を、相続問題では自分も罪の当事者であることを、子の死には無常を嘆きながらも悟りの境地と思える句を残したという。
島薗氏は「仏教が悲しみの入れ物であると考えられるならば、文芸もまた悲しみの入れ物と言えるのではないか」と話し、日本の仏教は文芸の世界で生きてきた伝統を持つとの考え方を述べた。
この日は猛暑の中、約200人が訪れ、熱心に聞き入った。