どうつくる共生社会 西東京市がシンポジウム

イメージ 2 「西東京市における共生社会の実現」をテーマとするシンポジウム(市主催)が2月3日、コール田無で開かれた=写真はパネル討論。

 認知症や障害、難病、虐待、生活困窮などの困難を抱えている人々をどう支え、どんな地域をつくっていくかを、実践例を通して考えるのが狙いだ。いろいろに居場所づくりと取り組む市民や行政側の発表と、発表者がそろい今後の方向などを語り合うパネル討論の2部構成。

 コーディネーターで西東京市子ども子育て審議会長も務める森田明美東洋大社会学部教授は、①子どもの声は届きにくい②貧困や家庭の問題は見えにくい③福祉問題を抱える人は支援につながりにくい④福祉施策は利用しにくい⑤子ども施策の効果は見えにくい―と五つの「にくさ」を指摘。

 その理由を説明したうえで、子ども・若者の支援に向けては、「どんな子も利用できる場にする」「定期的に続ける」「大人が楽しんでいること」などの視点が必要と述べた。

 活動事例の発表では、NPO法人サポートハウス年輪の安岡厚子さんが、地域の居場所としてのカフェや認知症カフェ、子ども食堂の現状に加え、福祉も学びも「ごちゃまぜ」にして利用者が授業内容を決めたり先生になったりする「昭和の学び舎(や)」を4月に開校する計画を話した。

 このほか市青少年育成会わかば会長の真鍋五十鈴さんは青嵐中ブックカフェやルピナスまつり▽自宅を開放する「街中いこいーなサロン つかこンち」の塚田洋子さんは子育てサロンやランチ会▽市教委教育支援課の臨床心理士、宮崎洋子さんは適応指導教室不登校ひきこもり相談室などの心理教育的居場所▽地域福祉コーディネーターの大賀晴江さんは「ほっとネット」(ほっとするまちネットワークシステム)の個別相談と地域支援▽市社会福祉協議会の生活支援コーディネーター利光有紀さんは地域サポート「りんく」の事業や課題などについて紹介した。

 パネル討論では、「子どもにも高齢者にも『引く間合い』が大切」「決めごとは作らない」「認知症や障害者にたいしては心の垣根を低くして接する」などを再確認。森田さんは共生社会の実現に向けて、「主体は市民だが、行政、専門家と力を合わせ、人それぞれの多様性を共有するすることが大事」とまとめた。(下の写真は森田明美東洋大教授)
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