見ごろの「玉縄桜」 ~大船観音へ ウオーキング協会例会

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台風による倒木から再生した玉縄桜の原木

 

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 西東京市ウオーキング協会の2月例会が23日、神奈川県藤沢市から鎌倉市への約9キロのコースであった。11人が参加し、日比谷花壇大船フラワーセンターや大船観音などの見どころを楽しんだ。

 

 JR藤沢駅北口を午前10時に出発し、時宗総本山の遊行寺(ゆぎょうじ)へ向かう。約20分歩き、遊行寺の惣門(黒門)をくぐって「いろは坂」と呼ばれる緩やかな石段を上るころには汗ばむほどの陽気。

 

 樹齢700年といわれる大イチョウの前でジャケットなどを脱ぐ人が目立つ。この大木、本堂側から見ると、幹の樹皮をそいで薬剤を塗ったとみられる大きな灰色の治療痕が痛々しい。

 

 境内では東海道で最大級という木造の本堂や、菊と三つ葉葵(あおい)の両方の紋を持ち、現在も正門として使われている中雀門などを巡り、東門を出て鎌倉道(県道302号)を東へ。

 

 県道312号を北に向かい、「島の神」を過ぎたあたりで右の道に入り城廻地区を進むと玉縄城大手門跡に着いた。住宅に挟まれた狭い通路の入り口は柵で閉ざされていた。この先にあるコンクリート擁壁の上の高台にかつて本丸があり、今は清泉女学院の中高校になっている。

 

 玉縄城東海道と鎌倉をつなぐ要衝の地にあり、戦国大名の先駆け北条早雲(伊勢宗瑞)が1512年に築いた。攻め落とされたことのない堅固な城だったが、徳川幕府一国一城令で1619年に廃城となった。

 

 現存する遺構は極めて少ないとされる中の一つで、大手門跡から近い太鼓櫓跡を訪ねた。ただ小高い台地の地形と案内板のほかに遺構らしさを示すものはなく、七曲坂を下った。坂は市民団体の手でよく整備されていた。歴代の玉縄城主とゆかりの深い龍宝寺の境内を一回りしてから龍寶寺トンネルを抜け、大船フラワーセンターを目指す。

 

 正午を少し過ぎてフラワーセンターに到着。県立の施設だが、命名権を花卉(かき)小売業者に売った。入園料は65歳以上150円。集団行動での見物は後回しにして、まず昼食をとることになった。自由時間は1時間。玉縄桜広場の先のピクニックグラウンドのベンチに分かれて弁当を広げた。

 

 ここでの見ものは「玉縄桜」。龍宝寺の境内では若木が1本五分咲きになっており、玉縄桜広場でも見ごろを迎えたものが少なくない。

 

 ご当地の名をかぶせたとおり、玉縄桜は同センターで生まれ育ち、品種登録された。ソメイヨシノのめしべに別の品種の桜の花粉が付いてできたとみられ、早咲きで観賞期間が長いのが特徴という。今年の場合、ソメイヨシノの東京の開花予想は3月15日(ウェザーマップ)とされるが、センターの玉縄桜は2月3日に開花した。

 

 午後の出発直後、玉縄桜の原木を見た。昨年9月の台風15号(令和元年房総半島台風)で根元から倒れたが、枝や葉を半分以上落とすなどして再生に成功。支柱の助けを借り、誕生から51年になる原木は、ややまばらながらも、淡いピンクの花びらを青空に咲かせていた。

 

 ツツジシャクナゲ園、バラ園、シャクヤク園と見ごたえのありそうなエリアも多く、「違う季節にゆっくり来たいわ」と話すと相づちを打つ女性たち。

 

 フラワーセンターからは、北条氏時が自軍の戦死者を供養するために作った「玉縄首塚」に立ち寄り、最後の目的地の大船観音寺へ。

 

 大船観音寺の参拝料は大人300円。参加者のほとんどが観音像を身近に見るのは初めて。青空と白衣の像との鮮やかなコントラスト、千羽鶴や千体仏を納めた胎内、境内に設けられた原爆慰霊碑など電車の窓からは知ることのできない世界を思い出に午後2時半すぎ、JR大船駅で解散した。