北本の桜のシンボルは樹齢800年の「石戸蒲(かば)ザクラ」。1922(大正11)年に三春滝桜などとともに桜の木で初めて国の天然記念物に指定された「日本五大桜」の一つ。
満開になれば、花が空を覆い隠すのではないかと思える枝張り。市の観光情報サイトによると28日に開花したが、この日もそのままの足踏み状態のよう。目を凝らしたり垣根を巡ったりして、やっと枝先やひこばえに小ぶりな白い花びらを見つけることができ、「見ごろは来週末かしら」と残念がる声。
毎年3万人が訪れるというが、駐車場はがら空き、出店が囲む休憩広場も花見客の姿は見えなかった。
新聞報道によると、石戸蒲ザクラは昭和40年代に枯死寸前と言われるほど樹勢が衰えた。液肥の注入などで息を吹き返したが、昨年また樹勢の衰えが心配される様子が現れたため、土の中に水を高圧注入して根の活性化を試みるという。
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ウオーキングは午前10時ごろ、JR高崎線北本駅を出発。地元企業などが協力して造る景観フラワーロード、日本一おおきなおみくじのある高尾氷川神社、享保年間に建立された北向き地蔵を経て、緑のトラスト保全地「高尾宮岡の景観地」に入った。
公園には、親の故郷から贈ってもらった44本の桜の木を含めて約30種、約220本が植えられ、名前の通り桜尽くしの公園だ。
ソメイヨシノはまだ花芽が堅いものから散り始めまでさまざま。満開のベニシダレザクラ(三春滝桜)前のベンチなど思い思いの場所で弁当を広げた。天気がよいと、荒川堤防の向こうに左は富士山、右は赤城山まで望めるという山並みは全く見えなかった。
石戸蒲ザクラの若い後継樹を見つけた。白いつぼみをのぞかせていたが、1輪も開いていなかった。
公園で1時間ほど過ごし、午後零時半、出発。荒川沿いの北本水辺プラザ公園の入り口付近から左に入り、黄色の菜の花と桜のコントラストが美しい城ヶ谷(じょうがや)堤を通る。
自然遊歩道の一夜堤口から自然観察公園に入り、湿地帯などを抜けて南口を出ると、しばらく忘れていた住宅地に。
南口からは5分ほどで東光寺に着く。小ぢんまりと建つ本堂の先に石戸蒲ザクラがあった。頭上を見たり樹形を観察したりした後、北里大学メディカルセンター付近で午後2時ごろいったん解散した。ここまでの距離は約10キロ。多くの人は自然観察公園北部にある樹齢200年、高さ29メートルで市内最大というエドヒガンザクラへと足を延ばした。
(下の写真は高尾さくら公園と城ヶ谷堤)