映画「ひろしま」は日教組製作だった

 1月14日、保谷こもれびホールで映画「ひろしま」を初めて見た。ワクワクして見に行く類ではなく、人間として見ておいた方がよいという部類の映画だ。新聞販売店がチケットを500円で販売する愛読者サービスを利用した。

 

 上映会を主催する西東京シネマ倶楽部のチラシには、「原爆が投下された直後の様子を再現した作品」「公開当時(1953年)、あまりにリアルな表現のため、反米的だと言われ劇場公開が見送られた幻の映画」「8万人余りの広島市民がエキストラとして参加」と紹介されていた。

 

 その「リアルな表現」だが、広島の平和記念資料館で遺品や写真、丸木美術館(埼玉県東松山市)で原爆の図を見学したときと、スクリーンに映し出される被爆の惨状は、心に刺さるものがどこか違う。静止画(物)がもたらす想像力と演出された現実感の違いなのか、それとも単純に感受性の劣化?

 

 有名な俳優が多数出演しているが、はっきりわかったのは英語教師の岡田英次と医師の三島雅夫山田五十鈴ら女優は誰一人わからなかった。

 

 映画のタイトルロールで日本教職員組合の製作と知って驚いた。時代の移ろいとはいえ、終戦直後の日教組の力は偉大だったのだな。

 

 日教組は高度成長期ごろから組織率がどんどん下がり、今では組織率自体がニュースにならなくなった。代わって教員不足が社会問題化しているが、さて学校の先生のどのくらいがこの映画を見たのだろうか。

 

 「ひろしま」はこの日午前と午後の2回上映。主催者は午前の入場者を「100人近く」と言ったが、午後は70~80人といったところだった。